学習サークル紹介-2019年12月一部更新

各学習サークル担当者からの報告を更新していきます。
ご興味のある方は直接担当者にご連絡ください。

移民の国アメリカを考える会(略称:アメリカ移民の会)

活動内容:これまで明治期から第二次大戦にかけてハワイ、アメリカ合衆国西海岸へ移住した日本人の歴史を勉強してきました。現在はカナダへの移民の歴史を追っています。まず和歌山県三尾村(アメリカ村)から多くの漁民がカナダ・バンクーバー近くのフレーザー河河口の漁村スティーブストンでの鮭漁に従事するためにデカセギに行った人々の歴史を学びました。ついで滋賀県湖東地区(現在の彦根市周辺)からカナダ・バンクーバーに移住した人々(海を渡った近江門徒)の歴史を現在追いかけています。なぜ人々は郷里の村を後にして太平洋を渡って見ず知らずの異国の地に行かなければならなかったのか、移住先で彼ら日系移民を待ち受けていた差別・偏見・排斥などにどう立ち向かっていったのか、などについて考えていきます。毎回担当者がプリントを配布して説明したあと、参加者全員によるフリートークという形式で進めています。移民に関心のある方の参加を随時歓迎いたします。
日時:毎月第2土曜日 14:00〜16:00
場所:611セミナー室[滝子キャンパス1 号館6階]
会員数:10名
顧問:名市大大学院人間文化研究科 飯島伸彦教授
担当:村井忠政名市大名誉教授 t.samurai1984(アットマーク)live.jp

古典輪読の会(略称:コテリンの会)

活動内容:幕末維新にわが国を訪れた欧米人の書き残したさまざまな文献(紀行文、日記、日本人論、日本文明論など)を読んでいます。これまで渡辺京二『逝きし世の面影』(平凡社)、イザベラ・バード『完訳日本奥地紀行』(平凡社東洋文庫)、アーネスト・サトウ『一外交官の見た明治維新』(岩波文庫)を輪読してきました。これから予定しているのはメーチニコフ『亡命ロシア人の見た明治維新』(岩波文庫)です。少人数ですが、研究熱心な方が多く、毎回中身の充実した議論が展開されております。幕末維新の日本文化、日本人に関心のある方の参加を歓迎します。
日時:毎月第3金曜日 14:00 ~ 16:00
場所:704セミナー室[滝子キャンパス1 号館7階]
会員数:5名
顧問:阪井芳貴教授
担当:村井忠政名誉教授 t.samurai1984(アットマーク)live.jp

英語スピーキングの会

活動内容:月に一回の集まりです。メンバーが順に自分の好きなテーマを決め、それについて皆でフリートーキングしています。
堅苦しい事を語るのではなく、気楽な集まりです。
日時:毎月第2水曜日 14:00〜16:00
場所:平田教授ゼミ室[1 号館6階]
会員数:8名
顧問:平田雅己准教授
担当:藤井 yo_fu(アットマーク)outlook.com

「育ちあい・愛」子育てサロン

活動内容:「子育て」とはちょっとオーバーですが、人類の永久のテーマです。そして、先人も現代人もその方法は大して変わりがありません。人間の発達は段階的に進みます。生理的にも身体機能的にもリズムをもって成長していきます。ただ、現代では子どもたちを取り巻く環境があまりにもスピード化され心身の発達に危惧を抱く研究者もおります。当サロンでは、グランパやグランマのお知恵を拝借しながら多くの方に育児参加していただき幅広いテーマで子育てに取り組んでいきたいと思います。子どもたちの元気な成長を願う方ならどなたでも参加できます。
日時:不定期 案内:manabi メーリングリスト
顧問:山田美香教授
担当:斉藤典子 nikosaito(アットマーク)gmail.com

戦争シリーズ

活動内容:講座『戦争シリーズ』は過去、「真珠湾への道」「再考、太平洋戦争」「第二次大戦への道」「再考、第二次世界大戦」「再考、東京裁判」「東京裁判への道」等々をテーマに開催してきました。この講座の論点は、「なぜ、あのような大戦争が起きてしまったのか」です。同時に、無数の悲劇を生じた戦争が勃発してしまった時代背景、国際関係、国内情勢等を皆様と考えております。この講座の特徴としては、講師からの説明だけではなく、皆様からの質疑応答、ミニ討論会にも多くの時間を割いていることです。多くの皆様のご参集をお待ちしております。
日時:講座準備中。ご案内希望の方は担当者にご連絡ください。
場所:教室は未定 [1 号館]
顧問:阪井芳貴教授
担当:門池 daian456(アットマーク)yahoo.co.jp

古典文学に親しむ会

活動内容:8世紀、奈良興福寺の僧「景戒」が残した説話集「日本霊異記(りょういき)」を読んでいます。後の『今昔物語」「宇治拾遺物語」につながる、説話文学の嚆矢となるものです。怪異、孝行、ちょっとお色気など、話の種満載の読み物。ここで力をつけ、物語文学の最高峰「平家物語」に挑戦します。(講談社学術文庫を使用)
日時:毎月第4金曜日 16:00 ~ 18:00
場所:704号室 [1 号館7階]
会員数:8名
顧問:加藤弓枝准教授
担当:城 浩介 jo-k(アットマーク)cf6.so-net.ne.jp

英字新聞を読む会

活動内容:日木教授の公開講座「日本人泣かせの英語の冠詞」がきっかけとなり、2007年11月に発足しました。毎月1回例会を開催し、2019年3月には第136回目を迎えました。NYタイムズやワシントンポストなどからダウンロードした記事を各自が事前に予習。例会当日は順番にワンパラグラフずつ訳し、疑問点を皆で議論。意見が分かれた時には日木教授にアドバイス頂いています。
日時:毎月第4土曜日 14:00 ~ 16:00
場所:606号室[1 号館6階]
会員数:15名
顧問:日木 満教授
担当:河面祥三郎 espoir-sendan(アットマーク)zm.commufa.jp

西洋史研究会

活動内容:昨年4月発足のサークルです。ギボンの『ローマ帝国衰亡史』(PHP研究所刊 上下2巻)を読んでいます.。毎月1回の例会では、当番が担当のページを読み上げ、各自の興味あること、疑問点などを話し合います。今年5月からは下巻に入ります。 日時:毎月第3水曜日 14:00 ~ 16:00
場所:517号室[1 号館5階]
会員数:13名
顧問:別所良美教授
担当:日野一彦 ja28kh(アットマーク)mf.ccnw.ne.jp

ドイツ語初歩

活動内容:ケストナー著『Email und die Detektive (エーミールと探偵たち)』を読みながら、文法書『必携ドイツ文法総まとめ』で、文法の基礎を学んでいく。
日時:毎週第2水曜日 14:00~16:00
場所:519号室[1 号館5階]
会員数:4名
顧問:別所良美教授
担当・連絡先:寺岡信之 nobuyukiteraoka(アットマーク)gmail.com
052-852-5210

俳句をつくり語る会

活動内容:俳句は日本で生まれた世界で一番短い詩です。五七五の文芸です。この短い詩をつくって見ませんか。日本文化の香りや自然の美しさ・神秘さなどを表現できます。この五七五の世界には、季節が生きづいています。結社の主宰のような指導者はいませんが、みんなのつくった句をみんなで語り合いませんか。句会形式で進めています。当日にはあらかじめつくった四句(形は五七五、季語を必ず使うこと)を提出していただきます。初めてチャレンジするひとも歓迎します。このサークルは発足してから令和元年五月で六十二回を迎えました。
当日必要なもの:歳時記、ノート、筆記用具
日時:毎週第2土曜日 14:00~16:00
場所:508号室[1 号館5階]
会員数:9名
顧問:椎名渉子准教授
担当:山下善久(俳人協会会員) zenq(アットマーク)mc.ccnw.ne.jp

アユチ雅楽会

活動内容:雅楽は、千年以上にわたり受け継がれてきた日本の大切な文化遺産です。笙・篳篥・龍笛の三つの管楽器から、一つを選んで練習を開始していただきます。「浦安の舞」などの神楽舞から練習を始めていただくこともできます。令和元年より、記紀や伝承を題材とした「語り」の部門もスタートしました。アユチは「めでたき物をもたらす風」を意味する古い言葉。「幸いを届けたい」という想いで活動しています。
日時:不定期(練習会、お祭りでの奏楽、イベントでの奏楽)
場所:学外(名古屋駅近くの神社他)
会員数:18名
顧問:阪井芳貴教授
担当:渡邊 ayuchigagakukai(アットマーク)yahoo.co.jp

八雲琴の会

活動内容:八雲琴の会では、次の三つについての調査・研究を行います。(1)かつて名古屋で伝承されていた八雲琴の一流派「八雲大岸流」、 (2)八雲琴の創案者である中山琴主、 (3)中山琴主を元祖とする八雲琴の各流派。会員各自で調査・研究を行い、報告会等で情報交換をします。八雲琴の会では、八雲琴の奏楽は行いませんが、奏楽団体(三重県の「八雲琴伝承の会」、愛知県の「玉琴の会」等)と連携して活動しています。
日時:不定期
場所:学外(フィールドワーク等)
会員数:3名
顧問:阪井芳貴教授
担当:浦野 yakumogotonokai(アットマーク)yahoo.co.jp

哲学サークル

活動内容: 2008年「市民学びの会」が設立されて以来、「先人跡」を辿りながら、「人生の真理を明らかにしよう」と学習に励んできました。新年度は、混迷する世界と宗教、宗教は指針となり得るかを取り上げます。
日時:毎月第1土曜日 14:00〜16:00
場所: 517号室[1 号館5階]
会員数:16名
顧問: 別所良美教授
担当: 佐野 052(852)5210

「日本の移民問題を考える会」(略称:移民研究会)

活動内容:安倍内閣は多くの有識者の反対にもかかわらず、昨年12月大急ぎで出入国管理法(入管法)を改正し、多くの課題や制度上のあいまいさを残した中で、今年4月1日から新制度をスタートさせました。今回の法改正は少子高齢化に伴う深刻な人手不足を少しでも解消するのが狙いで、これまで認めてこなかった単純労働者の在留資格(特定技能)を新設し、実質的な永住に道を開く内容となっている。これによってわが国政府は、「移民」は受け入れないと言い訳をしながら、外国人労働者の大量受け入れに踏み切ったことになります。 外国人労働者(移民)の受け入れをめぐるわが国の新聞・雑誌などメディアの論調は慎重論や反対意見が主流を占めていますが、一部には積極的開国論も見られます。賛否いずれの立場をとるにせよ、「人手不足の解消」というその場しのぎの議論ではなく、少子高齢化と人口減少という深刻な問題に直面しているわが国の将来のあるべき姿をしっかり見据え、「日本型の移民政策」はいかにあるべきかを本腰を入れて検討することが今こそわが国に求められているのではないでしょうか。本学習サークルでは、毎回担当者(村井)が資料を配布して説明したあと、参加者全員によるフリートークという形式で研究会を進めていきます。移民問題・多文化共生などに関心のある方の参加を歓迎します。
日時:毎月第1土曜日 14:00〜16:00
場所:611セミナー室[滝子キャンパス1 号館7階]
定員:10名
顧問:飯島伸彦教授
担当:村井忠政名誉教授 t.samurai1984@live.jp

講座「日系アメリカ人と太平洋戦争」10月末から始まります 

新講座「日系アメリカ人と太平洋戦争」  

市民学びの会、戦争シリーズでは、次の要項で新講座を開催致します。
皆様のご参加をお待ちしております。

講座名:「日系アメリカ人と太平洋戦争」

日時 :2019年10月30日~2020年3月25日まで、毎月最終水曜日計6回
   10時40分~12時10分 

会費 :年会費2000円 講座会費1800円 合計3800円
※本年度年会費2000円お支払の会員の方は講座会費1800円です。

場所 :名古屋市立大学滝子校舎 *教室は毎回正門でご案内致します。

内容 :《日系人12万人の強制収容》《日系二世部隊の欧州戦線での活躍》
    《日本兵になった日系二世たち》

講師 :門池啓史
連絡先:講師まで直接どうぞ。daian456@yahoo.co.jp 電話09089505777

アユチ雅楽会の今後の主な活動予定

アユチ雅楽会2019年秋の主な活動予定

  • 10月6日(日)水野社(名古屋市中村区)祭典奉仕
  • 10月13日(日)尾張戸神社(名古屋市守山区)祭典奉仕
  • 10月17日(木)小幡白山神社(名古屋市守山区)祭典奉仕
    • 10月19日(土)名古屋まつり(オアシス21会場)催馬楽「桜人」歌唱

※催馬楽桜人保存会様、名古屋市立大学サークルMARO様とコラボ出演します。

  • 10月20日(日)野田八幡宮(刈谷市)祭典奉仕
    • 11月2日(土)天台宗延命寺(大府市)晋山式

※稚児行列の道楽と晋山式の奏楽奉仕をします。

「日本の移民問題を考える会」(略称:移民研究会)

「市民学びの会」新学習サークルの紹介
「日本の移民問題を考える会」(略称:移民研究会)

安倍内閣は多くの有識者の反対にもかかわらず、昨年12月大急ぎで出入国管理法(入管法)を改正し、多くの課題や制度上のあいまいさを残した中で、今年4月1日から新制度をスタートさせました。同日入国管理局が格上げされ、法務省の外局として出入国在留管理庁(入管庁)が発足し、長官の人事も決まっています。今回の法改正は少子高齢化に伴う深刻な人手不足を少しでも解消するのが狙いで、これまで認めてこなかった単純労働者の在留資格(特定技能)を新設し、実質的な永住に道を開く内容となっている。これによってわが国政府は、「移民」は受け入れないと言い訳をしながら、外国人労働者の大量受け入れに踏み切ったことになります。

わが国の入管法の基本方針は「高度の専門職人材についてはこれを積極的に受け入れるが、非熟練のいわゆる単純労働者については原則として受け入れない」というものでしたが、今回の入管法改正によって従来の入管法の方針は大きく転換され、わが国は事実上欧米並みの移民国家の仲間入りを果たすことになったのです。このようなわが国の移民政策の根本的な変更は、当然のことながら各界に大きな反響を呼び起こしており、多くの新聞・雑誌で外国人受け入れをめぐる特集が組まれ、関連する単行本も続々と刊行されつつあります。

外国人労働者(移民)の受け入れをめぐるわが国の新聞・雑誌などメディアの論調は反対意見が主流を占めていますが、一部には積極的開国論も見られます。賛否いずれの立場をとるにせよ、「人手不足の解消」というその場しのぎの議論ではなく、少子高齢化と人口減少という深刻な問題に直面しているわが国の将来のあるべき姿をしっかり見据え、「日本型の移民政策」はいかにあるべきかを本腰を入れて検討することが今こそわが国に求められているのではないでしょうか。

 本学習サークルでは、上に述べたような問題意識から出発し、これまで多くの外国人労働者を地域住民として受け入れてきた地方自治体はどのような「多文化共生施策」に取り組んできたか、その結果どのような政策課題が未解決のまま残されているかについて勉強します。そこで明らかになった問題点を踏まえ、わが国の移民政策はいかにあるべきかについて皆さんとともに考えてみたいと思っています。その際に参考となるのは言うまでもなく移民先進国の経験です。具体的にはアメリカ・カナダ・オーストラリア、ヨーロッパのイギリス・ドイツ・フランス、さらにアジアのシンガポール・韓国・台湾などの国々です。

毎回担当者(村井)がプリントを配布して説明したあと、参加者全員によるフリートークという形式で学習会を進めていきます。資料代として毎回300円を徴収させていただきます。

日時:毎月第1金曜日(14:00〜16:00)を定例としますが、都合で変更されることがあります。
場所:704セミナー室[名市大滝子キャンパス1 号館7階(エレベータで最上階にあります)]
定員:セミナー室の収容能力の関係で10名程度に制限させていただきます。
顧問:阪井芳貴(名市大大学院人間文化研究科教授)
担当:村井忠政(名市大名誉教授)
*参加希望者は6月4日(火)までに下記の村井のメールアドレスまでお申し込みください。
t.samurai1984(アットマーク)live.jp

6月2日(土)「市民学びの会」総会&交流会

名古屋市立大学人間文化研究科市民連携
「知」と「芸」に遊ぶ
「市民学びの会」総会&交流会

日 時 2019年6月2日(日)14:45より受付
総会&交流会  15:00〜17:00

場 所 名古屋市立大学桜山キャンパス西棟サクラサイドテラス
サクラサイドテラス周辺地図PDF

費 用 1,500円 (当日徴収、別に会の方から一部補助あり)
軽食とドリンク アルコールあり

申し込み 各サークル担当者にお申し込みください。

アトラクション
トリオ演奏  シャンソン
桑原京子(ピアノ)
VITO(パーカッション)
彦坂紀都(ヴォーカル)

新学習サークル「ドイツ語初歩」

「ドイツ語初歩」学習サークルが始まります。

活動内容:ケストナー著『Email und die Detektive (エーミールと探偵たち)』を読みながら、文法書『必携ドイツ文法総まとめ』で、文法の基礎を学んでいく。

日時:毎週第2水曜日 14:00~16:00

場所:519号室(1号館5階)

顧問:別所良美教授

担当・連絡先:寺岡信之
nobuyukiteraoka(アットマーク)gmail.com
052-852-5210

「東京裁判への道」講座案内

タイトル:「東京裁判への道」

太平洋戦争終焉後、連合国側から裁かれた東京裁判(極東国際軍事裁判)は様々な課題を残しました。
今シリーズは裁判で争われた諸事件、事変他をもう一度学びなおしてみたく思っております。
テーマとしては、満州事変、満州国建立、盧溝橋事件、南京事件、三国同盟、宣戦布告問題…他 です。

本年8月29日(水)より来年3月まで月一回(但し、9月は休講)7回開催を予定しております。
時間は10:40~14:10です。教室は毎回正門でご案内致します。

ご興味ある方は、ぜひご参加くださいませ。ご連絡は門池までどうぞ。
daian456@yahoo.co.jp
電話:09089505777

【報告】別所良美教授 「持続可能な未来のための パラダイムチェンジとベーシックインカム(無条件所得)を考える」

今年度市民学びの会総会では、「持続可能な未来のためのパラダイムチェンジとベーシックインカムを考える」と題して、名古屋市立大学の別所良美教授による講演がなされた。別所教授の専門は社会哲学で、とりわけドイツの哲学者・社会学者で公共性論やコミュニケーション論で知られるユルゲン・ハーバーマスの研究に取り組んでこられた。別所教授はこれまでに大学院人間文化研究科長や人間文化研究所長などの要職を歴任され、学部・大学院の運営と並んで、ESD(持続可能な開発のための教育)研究に学部をあげて取り組むなど、研究活動の面でもリーダーシップを発揮されている。

本講演のテーマは、大きく分けて次の三つの柱に分けることができる。第一の柱は「ベーシックインカムとは何か」、第二の柱は「持続可能性をめぐる諸問題について」、第三の柱は「持続可能な社会のビジョン=「第三次産業革命」について」である。これらの柱で取り上げられるテーマは、そのいずれも私たちにとってきわめてアクチュアルな問題である。
本講演の表題には「パラダイムチェンジ」というタームが掲げられていることに注目してほしい。その意図するところは、われわれ人類が信じて疑わなかった資本主義的市場経済の下での無限の成長というイデオロギーからの脱却(すなわちパラダイムチェンジ)をはかり、再生可能エネルギーを基盤とした経済活動によって、地球エコシステムの循環の限界内で豊かさと幸福を発展・開発する社会(すなわち持続可能な社会)を目指すことなしに人類の未来はないとの警鐘にほかならない。

第一の柱は、近年わが国でも注目を集めつつある「ベーシックインカム(無条件基本所得)」をめぐるものである。「ベーシックインカム」がにわかに注目を集めている背景には、 AI(人工知能)やロボットなどのテクノロジーが飛躍的な進化をとげることにより、近い将来人間の労働が機械(ロボット)に置き換わることで失業が急増するとの予測がある(ジェレミー・リフキン著『大失業時代』)。しかしながら、機械化によって人の仕事がどのていど奪われるかについては、正確な予測は困難であり未知数の部分が多い。とはいっても、現在私たちが従事している仕事のかなりの部分が近い将来機械に取って代わられることはまちがいないと考えた方がよさそうだ。オックスフォード大学の研究チームによると、今後十〜二十年間に、アメリカの総労働人口の五割弱が機械に置き換わる可能性があるという。その中には、製造業などの単純労働だけでなく、銀行員、ファイナンシャル・アドバイザー、コンサルタント、法律家といった知的労働(専門職)も含まれているというから驚きだ。私たちはどんな仕事で稼ぎ、政府は社会保障制度をどう維持したらよいのか。この問いに対する答えとしてヨーロッパ諸国で浮上してきたのが「ベーシックインカム」という概念であり、これまでにいくつかの国や自治体ですでに実験的な試みがなされている。

「ベーシックインカム」とは、「無条件の基本所得」(Unconditional Basic Income)であり、「政治共同体(政府)が保障する普遍的な社会的人権」と定義される。生活保護などの社会保障と違って「貧困対策」ではないため、給付条件はなく誰でも「無条件で」もらえるということになる。この制度のメリットは、「無条件」で支給することによって社会保障制度をシンプルにし、行政上のコストを削減するところにある。さらに「無条件」で支給されるために受給者に「政府からの施し」というスティグマ(劣等感や負い目)を感じさせないという利点もある。要するに、社会によって存在と所得を保障されることによって、個人は自由で創造的な活動を行うことが可能になるというわけだ。しかし、最大の問題は財源をどうやって確保するかである。わが国における「ベーシックインカム」の導入に関しては賛否両論あり、今後の動向を注目したい。

第二の柱は「持続可能な社会とは何か」である。一九七二年にローマ・クラブが『成長の限界』を公表したとき、世界の人々は大きな衝撃を受けた。現状が続けば、人口増加と地球環境の破壊、さらには資源の枯渇などで、人類の成長は限界に達するという警鐘が鳴らされたのである。今でこそ、有限な地球、地球温暖化などさまざまな言葉が飛び交っているが、その起源はすべてこの『成長の限界』にあった。「持続可能」(sustainable)という概念自体も、これがきっかけとなって定着していったことにまちがいはない。『成長の限界』の 四〇年後、著者の一人、ヨルゲン・ランダースが『二〇五二 今後四〇年のグローバル予測』を発表した。本書は「ローマ・クラブの警告にもかかわらず、人類は十分な対応を行わないまま四〇年が過ぎてしまった」という危機意識から発している。「問題の発見と認知」には時間がかかり、「解決策の発見と適用」にも時間がかかる。そのような遅れは、ランダースが「オーバーシュート(需要超過)」と呼ぶ状態を招く。オーバーシュートはしばらくの間なら持続可能だが、やがて基礎から崩壊し、破綻する。
それでは、このような地球環境の危機(崩壊)から脱出するための具体的なビジョンをわれわれはどこに求めたらよいのだろうか。この問いに対する回答を示しているのが本講演の第三の柱、すなわち「持続可能な社会のビジョン」であり、それはジェレミー・リフキンの『第三次産業革命』で展開されたビジョンである。この著書でリフキンは、過去二回の産業革命の歴史から証拠を引用し、それに関連する出来事をプロットし、そこから未来を構想していく。さらに本書では、化石燃料や原発に依存した中央集権的な体制から、自宅で再生可能エネルギーを使って発電し共有するエネルギーの民主体制への変換をテコにして政治、教育、経済の新たなパラダイムシフトをめざすというビジョンが大胆に展開されている。

リフキンによれば、「インターネットという新しいコミュニケーション手段」に「再生可能なエネルギー」が結びつくことで第三次産業革命は起こる。周知のように、ドイツのメルケル政権はリフキンを政策ブレーンに招き、脱原発をはじめとして中央集権型から分散・水平型のネットワーク社会へ向けてパラダイムシフトに踏み切っている。この革命に成功した未来社会は次のようなものになると予想される。再生可能エネルギーを建物や家が生み出し、余った電力の一部を水素として貯蔵し、天候不順などへ対応する。各家庭やビルで生産された電力は効率化された配電網を活用して売買される。再生可能エネルギーを活用したプラグイン充電式や燃料電池式の車両で移動し、各地に配置された充電ステーションで充電する。これが第三次産業革命で生まれる物語の大筋である。過去の産業革命のプロセスを考慮すると、移行期間は半世紀ほどかかると予測されている。
リフキンは、資本主義の原理に基づいて生産性を極限まで最適化すると、モノを生産するためにかかるコスト(限界費用)が限りなくゼロ(無料)に近づくはずであり(リフキン著『限界費用ゼロ社会』)、そうした社会が実現すると資本の動きが発生しなくなるため、資本主義が成立しなくなってしまうという矛盾を指摘している。それにともなって資本主義は縮小し、資本主義市場でも政府でもない、シェアの意識に基づいて共同する自主管理活動の場「協働型コモンズ」が台頭しつつあるとの予測がなされる。

最後に、今回の講演における別所教授のパワーポイントを駆使してのプレゼンテーションは詳細かつ広範にわたるものであり、私としては大いに啓発されるところがあったことを申し添えてむすびの言葉としたい。

(村井忠政名古屋市立大学名誉教授)
名古屋市立大学人間文化研究科「市民学びの会」

6月16日(土)総会記念講演「持続可能な未来のための パラダイムチェンジとベーシックインカム(無条件所得)を考える」

総会記念講演
別所良美教授
「持続可能な未来のための パラダイムチェンジとベーシックインカム(無条件所得)を考える」

日時:平成30年6月16日(土)14:00〜16:00
場所:名古屋市立大学滝子キャンパス 1号館201号室
参加費:無料(お気軽に参加してください)

»6月16日(土)総会記念講演「持続可能な未来のための パラダイムチェンジとベーシックインカム(無条件所得)を考える」ご案内チラシ

講演内容

近年、「持続可能性」という言葉が氾濫しています。国連が2015年に発表した「持続可能な開発計画SDGS」が各国の政策に影響を与えていますし、少子高齢化による労働人口の減少が引き起こす日本経済の持続不可能性を克服しようとアベノミクスを唱えてきた政府は、近頃、「第4次産業革命」、「超スマート社会(SOCIETY 5.0)」というフレーズでIOTやAI技術の推進をめざしています。他方では、AIが人間から職場を奪うといった懸念が多方面から語られています。まさに混迷した現代社会がどこに向かおうとしているのか(パラダイムチェンジ)を整理し、その中に「ベーシック・インカム」を位置づけてみたいと思います。(別所)

講師別所良美教授略歴

1956年生まれ。ドイツ近現代思想。カント、ヘーゲルなどのドイツ古典哲学とアドルノやハーバーマス等のフランクフルト学派を研究し、現代の民主主義やナショナリズムとグローバリズムについて考えてきたが、最近はそれらの問題を持続可能な社会とベーシック・インカムという視点から考察している。
著書等:共著『戦争責任と「われわれ」』1999年、ナカニシヤ出版。『ESDと大学』2013年、風媒社。論文「ベーシック・インカムから考える少子高齢化社会」2017年、『ジェンダー研究』第19号

 

入会ご希望の皆様へ

名古屋市立大学人間文化研究科連携「市民学びの会」は、自主的な学習サークル活動を中心に行っています。
入会ご希望方は、ご興味のある学習サークル実施日にお越しいただけると幸いです。
見学は大歓迎です。
»2017年6月総会時報告した学習サークルの一覧に担当者の連絡先が記載されています。
大学側の都合により、実施日・教室が変更される場合がありますので、担当者に事前に日時をご確認していただくようにお願いいたします。

※名古屋市立大学の事務所は、「市民学びの会」の申込み・ご質問等に応じられない場合がありますので、お含みおきください。

●現在開催中の学習サークル

英字新聞を読む会
活動内容:日木教授の公開講座「日本人泣かせの英語の冠詞」がきっかけとなり、2007年11月に発足しました。毎月1回例会を開催し、2018年4月には第126回目を迎えました。 NYタイムズやワシントンポストなどからダウンロードした記事を各自事前に予習。例会当日は順番にワンパラグラフずつ訳し、疑問点を皆で議論。意見が分かれた時は日木教授にアドバイス頂いています。
日時:毎月第4金曜日の 14:00 ~ 16:00
場所:606号室[1 号館6階]
会員数:15名
顧問:日木 満教授
担当:河面祥三郎
espoir-sendan(アットマーク)zm.commufa.jp
(英語)スピーキングの会
活動内容:参加者全員が話す時間を確保するようにしています。各メンバーが、自由にそれぞれ話したい事柄(例:最近の出来事や自分の関心事など)を5分間程度話します。それに対して、他のメンバーが質問やコメントをするという形で行っています。
日時:毎月第2水曜日の 14:00〜16:00
場所:607号室[1 号館6階]
会員数:12名
顧問:平田雅己准教授
担当:藤井洋一郎
kiyosukaigi25(アットマーク)gmail.com
哲学サークル
活動内容: 2008年 「市民学びの会」が設立されて以来、「先人跡」を辿りながら、「人生の真理を明らかにしよう」と学習に励んできました。新年度(平成30年度)は、主として古代ギリシャ思想を取り上げます。
日時:毎月第1土曜日 14:00〜16:00
場所: 517号室[1 号館5階]
会員数:16名
顧問: 別所良美教授
担当: 寺岡信之
052(852)5210
移民の国アメリカを考える会
活動内容:第二次大戦前にアメリカ(ハワイ、本土西海岸)へ移住した日本人の歴史を勉強しています。毎回担当者(村井)がプリントを配布して説明したあと、参加者全員で議論をするという形式で進めています。
日時:毎月第2金曜日の 14:00〜16:00
場所:704教室[1 号館7階]
会員数:8名
顧問:阪井芳貴教授
担当:村井忠政名誉教授
t.samurai1984(アットマーク)live.jp
古典輪読の会(コテリン)
活動内容:幕末維新にわが国を訪れた欧米人の書き残したさまざまな文献(紀行文、日本人論、日本文明論など)を読んでいます。現在は函館を中心に活躍したヴィクトリア朝英国人トマス・ブラキストンの『蝦夷地の中の日本』(八木書店)を輪読中。
日時:毎月第 3 金曜日の 14:00 ~ 16:00
場所:704教室[1 号館7階]
会員数:5名
顧問:阪井芳貴教授
担当:村井忠政名誉教授
t.samurai1984(アットマーク)live.jp
戦争シリーズ
活動内容:戦争シリーズは、過去「真珠湾への道」を三回、「再考、太平洋戦争」二回、「再考、東京裁判」一回、その他を開催して参りました。次回は8月より「再考、真珠湾への道」を開催予定です。講義形式ですが、講師からの話だけではなく質疑応答やミニ討論会に多くの時間を割いています。
日時:8月から再開予定です。ご案内希望の方は担当者にご連絡ください。
場所:教室は未定 [1 号館]
顧問:阪井芳貴教授
担当:門池
daian456(アットマーク)yahoo.co.jp
子育てサロン
活動内容:テーマは「祖父母と孫世代のいい関係つくり」です。講師は、学内外の大学教授か専門家に依頼してます。
日時:毎年2,3月頃に開催いたします。ご案内希望の方は担当者にご連絡ください。
場所:教室は未定 [1 号館]
顧問:山田美香教授
担当:斉藤典子
nikosaito(アットマーク)gmail.com
古典文学に親しむ会
活動内容:これまで「古事記」(書き下し文)、「日本書紀」の「壬申の乱」(現代語訳)を輪読方式で読んできましたが、7月から「日本霊異記」にとりかかる予定です。
日時:毎月第 4金曜日の 16:00 ~ 18:00
場所:704号室 [1 号館7階]
会員数:10名
顧問:吉田一彦教授
担当:城 浩介
jo-k(アットマーク)cf6.so-net.ne.jp
俳句をつくり語る
活動内容:俳句は日本で生まれた世界で一番短い詩です。日本文化の香りや自然の美しさ・神秘さなどを五七五で表現します。結社の主宰のような指導者はいませんが、みんなのつくった句をみんなで語り合っています。句会形式で進めています。
日時:毎月第二土曜日の 14:00〜16:00
場所:603号室 [1 号館6階]
顧問:土屋有里子准教授
担当:山下善久
zenq(アットマーク)mc.ccnw.ne.jp
アユチ雅楽会
活動内容:雅楽は、千年以上にわたり受け継がれてきた日本の大切な文化遺産です。笙・篳篥・龍笛の三つの管楽器から、一つを選んで練習を開始していただきます。「浦安の舞」などの神楽舞から練習を始めていただくこともできます。アユチは「めでたき物をもたらす風」を意味する古い言葉。「奏楽で幸いを届けたい」という想いで活動しています。
日時:不定期(お祭り等での奏楽と月1回の練習会)
場所:学外(名古屋駅近くの神社他)
会員数:17名
顧問:阪井芳貴教授
担当:渡邊
ayuchigagakukai(アットマーク)yahoo.co.jp
八雲琴の会
活動内容:八雲琴の会では、次の三つについての調査・研究を行います。(1)かつて名古屋で伝承されていた八雲琴の一流派「八雲大岸流」 (2)八雲琴の創案者である中山琴主 (3)中山琴主を元祖とする八雲琴の各流派 会員各自で調査・研究を行い、報告会等で情報交換をします。八雲琴の会では、八雲琴の奏楽は行いませんが、奏楽団体と連携して活動しています。
日時:不定期
場所:学外(フィールドワーク等)
会員数:3名
担当:渡邊
yakumogotonokai(アットマーク)yahoo.co.jp
西洋史研究会
活動内容:今年度新しく発足した、西洋史関係の文献を読むサークルです。手始めに、ギボンの『ローマ帝国衰亡史』を読んでいきます。テキストは、『<新訳>ローマ帝国衰亡史』上・下 (中倉玄喜編訳、PHP研究所発行) です。
日時:毎月第 3水曜日の 14:00 ~16:00
場所:517号室[1 号館 5階]
会員数:12名
顧問:松本佐保教授
担当:日野一彦
ja28kh(アットマーク)mf.ccnw.ne.jp

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