Archive for 12月, 2007

田中敬子教授「アメリカ文学のニューオーリンズ」

第7回 サイエンスカフェ 2007年12月16日(日)

テーマ: 「アメリカ文学のニューオーリンズ」

講師: 田中敬子教授

わかりやすく、楽しく参加できてよかったと、感謝しています。ニューオーリンズという地名は、なんとなくなじみがあり、 (音楽の関係か?)アメリカ文学の中では多くの作品の舞台に なっていると思い込んでいましたが、案外に少ないのだなとい う印象です。(フォスターなどの歌の舞台もあの辺と思いこん でいました。)

一国の文学などを論議するときには、当然、その国の歴史や 地理、時代背景、社会背景、等の基礎知識が必要となりますが 、配布資料を見ていて、自分が特に、地理面・アメリカ開拓史 (ニュオーリンズの歴史)においてうとかったかということを 再認識しました。
お話をきいているうちに自分の場合、映画を見て、アメリカ の文学像を構成している可能性も高いということも気がつい て きました。

田中先生の聴講生からの質問に対する懇切な、ある意味ではやさしさを感じさせる対応には敬服するとともに、時間配分として十分に質疑の時間をとられていることで、参加者として安心して、質問の手を上げることができたことを申し添えます。

 藤田吉長

山田陽子さん,宮本佳範さん

マンデーサロン 2007年12月10日

テーマ:  「満州泰阜分村-70年の歴史と記憶 ―歴史から学ぶこと―」

講師: 山田陽子さん

山田さんは自分が編集委員として刊行された本『満州泰阜分村―70年の歴史と記憶』をもとに「歴史から学ぶこと」をテーマとして報告しました。報告は泰阜分村大八浪開拓団の旧満洲への入植、開拓団員の生活、終戦後の残留、そして日中国交正常化後に帰国した人たちに対して泰阜村が行った定着自立支援などについて詳細な説明が行われました。今度の報告を通して、私は初めて日本国民も被害者だという事実を深刻に認識し、当時の開拓団員の生活に関心を持つようになりました。報告によると終戦後、中国東北部の中国の住民は、戦い合った立場を超えて残留した日本人を受け入れ、助けました。戦争という残酷な歴史の中で、こういう人たちは既に日中友好の種を撒き始めたということに一番感動しました。また、満洲分村移民を送り出した責任主体として小さな泰阜村の堂々たる責任を引き受ける姿勢にも感心しました。

一言で言えば、今度の山田さんの報告は日本と中国との国際交流を深く考えさせる内容でした。山田さんの声がとてもきれいだったので、内容が重い報告でしたが、その声に参加者の皆さんは魅惑されたようです。私と山田さんは同じく成田先生の下で研究しているので、この本を完成するために、山田さんが何度も中国に行ってかなり詳細な研究を行ったことは知っております。『満洲泰阜分村―70年の歴史と記憶』は泰阜村の村史として刊行されましたが、泰阜村の歴史を通して日本と中国双方の歴史全般を覗くことができるし、日中友好の促進にも意義深いものだと思われます。そして、中国残留者問題への日本社会の注目を集め、戦争が残した問題の解決を促進する面でも大きな意義があると思われます。

朴香花(博士前期課程)

テーマ:  「H・ヨナスの思想に基づく自然保護教育」

講師: 宮本佳範さん

この度、初めてマンデーサロンに参加いたしました。宮本さんの「H・ヨナスの思想に基づく自然保護教育」論は、現在の環境ブームの風潮に自然保護教育の在り方を再考する提言として意義深いものでした。実は、私は宮本さんと同じゼミに所属していますので、宮本論の構築を傍で拝見しております。ゼミではヨナスの思想をはじめとする様々な思想を分かりやすい比喩を用い、口調は穏やかながらも熱く語る姿が印象的です。 今回は、「自然と触れ合うこと=自然保護教育」ではなく、自然保護につながる教育となりうるという根拠を理論的に考えていくひとつの例示という主旨でした。最後に、宮本さんの受賞式のスライドが数枚紹介されました。受賞記念品の紹介もあり、飾るに飾れないとのことで押入れに眠っているとのこと。その話で、それまでの難解な話から一気に和やかな雰囲気に包まれました。
発表者と参加者とが一体となってその場の空気を形作るようなあっという間の2時間でした。院生の参加は少ないようですが、自分の研究領域以外の発表は目から鱗の新鮮さがあります。毎月開催されているようですので、どうぞ皆様も一度参加されることをお勧めいたします。

大野裕美(博士前期課程)