Archive for 4月 22nd, 2009

新井透教授 「変貌するアメリカの人種観―文化的視座から考える」

第23回 サイエンスカフェ 2009年4月19日(日)

テーマ: 「変貌するアメリカの人種観―文化的視座から考える」

講 師: 新井透教授
サイエンス・カフェ

1月20日にオバマ新大統領が就任した。彼は「黒人」と言えるかの問題はあるが、少なくても有色であるオバマ氏の就任はアメリカの変化を示している。この変化しつつあるアメリカ合衆国にとって切り離せない奴隷制度、プランテーション、宗教、公民権運動の歴史を主として黒人の文学、文化を通して説明され、アメリカは「人種の壁を越えられるか」という問いかけがなされた。

私は社会学者が「文学は『フィクション』で研究対象とはならない」と言うのをよく耳にします。しかし、なぜこの「フィクション」が書かれたか、ジャズはいかに生まれたか、ある作品を誰がどのように批判するか、を考察することは社会を理解する手掛かりに十分なりうると思いました。例えば「風と共に去りぬ」を取り上げられて、白人と黒人の視点では作品の評価が異なることを説明された。このようにみていく面白さを伺い、文学の奥深さを考える好機になりました。また、南部の果実は奇妙な果実をつける・・・で始まる歌「奇妙な果実」が高く評価されたことは、歌の力の大きさを痛感させます。

時間の都合もあり、ネイティブの文化は一部の紹介でした。次回はマイノリティの文化比較を伺いたいと思いました。

房岡光子(同研究科研究員)