Archive for 5月 23rd, 2009

吉田一彦教授「本願寺の歴史と史料 -本願寺展に寄せて-」

第24回 マンデーサロン 2009年5月18日(月)

テーマ: 「本願寺の歴史と史料 -本願寺展に寄せて-」

講 師: 吉田一彦教授

吉田一彦マンデーサロン

去る5月18日に、吉田一彦教授を講師に迎え、マンデーサロンが開かれた。5月31日までの会期で、名古屋市博物館で開かれている「本願寺展」にちなんだ、大変刺激に満ちた内容であった。

すなわち、本展覧会に出品されている史料(滅多に見られないものが多い!)の写真を映しながら、前半では、親鸞の没後、その廟を発展させて創建された本願寺がたどった歴史を、親鸞の血統を引く弟子達の人間関係を軸に確認してゆき、後半では、本願寺ゆかりの文書・絵画などの文化財を取り上げながら、その歴史史料的および美術史的価値についてわかりやすく解説された。一時間を超えるお話しの後、参加者から本願寺や真宗に関わる具体的な質問が出され、さらに充実した内容になった。

今回は、名市大と市博物館の種々のレベルでの連携が始まったことを受け、マンデーサロンのPRを博物館にも依頼したことも功を奏し、過去最高の50名の参加者を得た。今後、研究所と博物館の連携も模索し、研究所の活動を一層充実させてゆきたい。

阪井 芳貴 (同研究科教授)

菅原真准教授「ホームレスと『住所』・『居住』権」 

第24回 サイエンスカフェ 2009年5月17日(日)

テーマ: 「ホームレスと『住所』・『居住』権」

講 師: 菅原真准教授

今月のサイエンスカフェは、「ホームレスと<住居>・<居住>権」と題し、菅原真准教授の講演が行われました。当日は雨が降る悪天候でしたが、10名の方に参加いただき、終始アットホームな雰囲気でした。

講演冒頭、派遣切りやワーキングプアに見る、近時の若者の労働環境問題に触れ、“「絶望」する若者たちに人文社会科学は「希望」を語ることはできるのか?”という問題意識を持ち、路上生活者又はホームレス状態にある人の「人」権・「市民」権である、「住所」や「居住」をめぐる憲法学的考察をするに至った経緯が説明されました。

次に、実際の訴訟内容とその判決を追いながら、法律上及び行政上、ホームレスの「住所」・「居住」はどう考えられてきたか、民法上・公法上の「住所」観念はどのようなものか説明がなされた後、「住所」がないことで社会的に不利益になることの具体例を挙げ、「住所」・「居住」権を考察しました。また、ホームレスが居住している場所は、公園等の公の場所であることから、ホームレスの自立支援法と都市公園法の規定の矛盾を見ながら、ホームレスの「住所」・「居住」権と公の空間占有権限の問題についても考察しました。サイエンスカフェ

講演終了後は、質疑応答及び講師・参加者を交えての意見交換を行いましたが、身近な話題であり、実体験を踏まえた活発な発言がなされました。

昨今の雇用制度や経済状況の変化から、ホームレス自体の実態も従前とは異なってきており、その「住居」・「居住」権を考える重要性は増してきていると強く感じるカフェでした。

廣瀬直子 (同研究科博士前期課程)