Archive for 5月, 2010

小林 かおり教授「日本のシェイクスピア上演」

マンデーサロン 2010年5月17日

テーマ: 「日本のシェイクスピア上演」

講 師: 小林 かおり教授

5月17日、新年度第2回のマンデーサロンがおこなわれました。小林かおり先生に、着任早々のお忙しい時期にもかかわらず、約70分にわたって、「日本のシェイクスピア上演」というタイトルでお話して頂きました。

日本におけるシェイクスピア上演史の検討という課題は、『ハムレット』の「芝居は自然を映し出す鏡」という言葉に従いながら、シェイクスピアの上演のされ方が、日英の関係性もしくは日本社会の変化を映し出す鏡であるという見地から設定されました。具体的には、日本のシェイクスピア上演の歴史が3つの時期にわけられ、「近代化=西洋化の時代」には西洋の模倣、「日本経済の発展の時代」にはオリエンタリズムの体現と解釈される日本独自の価値観の強調、「ポスト・バブル時代」には西洋の視線からの解放と、アジア諸国との競演や多様な方向性の出現という特徴が指摘されました。

小林先生のお話には画像や映像が多く用いられ、特に現在進行中のシェイクスピアのアジアでの上演のアーカイブ化プロジェクトは、十分なインパクトを聴衆に与えました。またお話しの内容は、参加者のそれぞれの立ち位置にそった多様な関心を惹起する刺激的なもので、質疑も文学的な関心から経営思想との比較対照まで多岐にわたり、予定の時間をややオーバーする活発な議論となりました。

安藤 究(同研究科准教授)

谷口幸代准教授「文学の中の丸善」

第35回 サイエンスカフェ 2010年5月16日(日)

テーマ: 「文学の中の丸善」

講 師: 谷口幸代准教授

「記憶の中の丸善」

谷口先生のお話をうかがいながら、子どもの頃からあこがれていた丸善が明治時代から文学者のみならず知識人にとって、舶来文化との重要な接点だったことを再認識しました。そして東京日本橋の本店や名古屋店の正面玄関を入ると突きあたりに左右に分かれて階上へ進む階段のある風景や、早く丸善で洋書が買えるようになりたいと思って青年期を過ごしたことを懐かしく思い出していました。それが、私たちの世代の大人への通過儀礼であったと思います。

谷口先生とはかなりの期間同僚であったのに、私は先生の講演を聴くのは今回が2回目でした。周到に準備された講義内容と資料、誠実なお人柄が伝わる朗読など、とても感銘を受けました。 あっという間に予定の時間が過ぎ、五月晴れにふさわしいさわやかな気持ちで帰途につきました。次回は、科学者からみた丸善を聴いてみたいと思います。

後藤 宗理(椙山女学園大学教授)