Archive for 6月, 2010

天谷祐子准教授「心理学から見る「私はなぜ私なのか」という問い」

マンデーサロン 2010年6月21日(月)

テーマ:「心理学から見る「私はなぜ私なのか」という問い」

講 師:天谷祐子准教授

本年度二度目のマンデーサロンは、4月から本研究科に着任された天谷先生を講師に「心理学から見る『私はなぜ私なのか』という問い」というテーマで開催され、20人弱の参加がありました。心理学をご専門とされる天谷先生ですが、心理学をほとんど知らない方や初学者にもわかりやすいように説明を加えていただきながら報告をいただきました。

天谷先生には、「私はなぜ私なのか」というある種哲学的な問いは多くの人(とくに子ども)が持ったことのあるもので、発達においてある程度一般的な現象であるという点、そしてこのような問いを持つことが発達の中でどのような意味や役割を果たすかという点に関する展望など非常にボリュームのある報告をしていただきました。 このような哲学的な問いを一人の人間の問いとしてではなく、多くの人の発達における体験として心理学から分析するという報告は、心理学という学問がどのようなものであるか、その一側面が参加者に伝わる報告であったように思います。また、本報告は心理学の中でも主流となるテーマとは異なる側面を持ち合わせており、心理学をある程度学んだ参加者にとっても知的好奇心を刺激されるものであったのではないかと思います。 このテーマは天谷先生がこれまでに、そしてこれからも取り組んでいかれるもので、その「最前線」をお伝えいただきました。質疑応答もその「最前線」をめぐる活発なものとなりました。

太田昌志(同学部生)

中川敦子教授「注意の初期発達:”いたいの、いたいの飛んで行け”の真実」

第36回 サイエンスカフェ 2010年6月20日(日)

テーマ: 「注意の初期発達:”いたいの、いたいの飛んで行け”の真実」

講 師: 中川敦子教授

梅雨らしく、激しい雨が降る中で今回のサイエンスカフェは開催されました。そうした足元が悪い中にも関わらず、予想を上回る方々が講義にいらっしゃいました。

中川先生より、今回の論題である、なぜ「いたいの、いたいの飛んでいけ~」の言葉掛けで子どもの「痛み」が緩和されるのか?を分かりやすく解説してもらえました。普段何気なくおこなっているこうした行為も、「痛みの発信源である対象から、他のもの(対象)へ注意をそらす」と考えることでひとつの学問として捉えることができました。また、子どもの「注意」という機能がどのように発達し、脳のどの部分が関与するのかなど、神経心理学をご専門にされている先生らしく、詳しくも分かりやすく教えてもらえました。サイエンスカフェ

また、注意機能の初期発達を豊富な実験経験を交えてお話してくださり、実験という特殊な状況を想像しにくい聴衆からも活発に質問が上がりました。みなさん、子どもの発達に関して並々ならぬ関心を抱いていらっしゃることが伺え、有意義な時間を過ごされたようでした。終了後は雨も上がり、みなさん満足気な表情で雨上がりの栄へと消えていきました。

木村 由佳(同学部卒業生)