Archive for 9月 25th, 2011

山田 明教授「東日本大震災と防災・減災まちづくり」

44回サイエンスカフェ 2011年9月18日(日)

テーマ:「東日本大震災と防災・減災まちづくり」

講 師: 山田 明教授

東日本大震災という衝撃から半年。次第に、日常会話の中から「震災」という単語が減ってきたこの時期に、実際に現地訪問を重ねている山田教授による講演が行われた。

サイエンスカフェ今回の内容は主に、被災地の現状報告から始まり、阪神大震災との比較やフクシマの原発の問題、これに関連した従来の国策の影響についても言及されていた。小泉政権下で大規模に行われた市町村合併によって、周辺部化した地域の復興が遅れていること。菅前政権における原発対応が批判されたが、そもそもフクシマの問題の端緒となったのは自民党政権の時代であり、それを批判しなかったマスコミも問題だったのではないか、など。いずれにおいても、 「被災」者がじつは国策による「被害」者でもありうる、という点に関しては特に考えさせられた。

現在、次なる国策として、被災地復興を叫びながらも、国民への説明責任も果たされないままTPPが前進しようとしている。 第一次産業の支え手でもあり、かつ、« 職 »が大きな課題となっている東日本の被災地に対して、どのような影響をもたらすことになるのだろうか。国全体への影響とともに、議論を重ねる必要性を感じるところだ。

当時は、津波の映像を画面を通じて見るだけでPTSDになってしまう、と懸念されたほどの今回の大震災とは言え、日数の経過とともに人々の記憶も関心も薄れていく。このような現状の中で、被災地の復興のためにも、この衝撃をいかにして風化させずに次世代へと繋いでいくのか。また、十数年以上前から東海地震の危険性を叫ばれている私たちの地域においては、この衝撃から何を学び何を活かすべきなのか。まちづくりのあり方にとどまらず、一般市民の意識や議論における減災への取組みも検討される必要性を感じた。

天野知亜紀(同研究科博士前期課程)