Archive for 4月, 2013

菊地夏野准教授「フィリピン人女性から見た名古屋、日本」

第59回サイエンスカフェ 2013年4月27日(土)

講師: 菊地夏野准教授(社会学<ジェンダー論>)

テーマ: 「フィリピン人女性から見た名古屋、日本」

今回のサイエンスカフェでは、婚外子の国籍訴訟について、フィリピン女性から直接お話を聞くことができた。勝訴の前例がなく難しいだろうと考えられていたが、諦めず立ち向かう姿勢に勇気をもらえた。人間として産まれてきたことに変わりないのに、婚外子ということのみで差別や不利益が生じることはあってはならないことだと思う。今回の例で違憲判決を得たことは、多様な家族が認められる形ともなり歴史的に大きな一歩だったと感じさせられた。

ジェンダー研究について研究者から直接お話を聞けたことも非常に有意義であった。フィリピン女性に教わりながら参加者みなでダンスをする場面もあり、土曜の午後の楽しい時間ともなった。

先生のお話の中で、ジェンダー研究は1980~90年代にかけてのジェンダー・フェミニズムの華やかな発展を経て、バックラッシュと男女共同参画の並行で複雑な状況を迎えているとあった。また、ジェンダー研究混迷の要因として、若い世代の保守化、女性の非正規雇用の割合が高い実態とは裏腹に、非正規雇用の男性と一部の正規雇用で生活が安定した女性を比較して、「男性の方がつらい」という言説があることが挙げられていた。その上で、今後のジェンダー研究と関連して、「女性」の一枚岩視の限界や新たなアプローチが必要であると述べられていた。

女性にとって不利な社会である現状を、単に女性の問題として片付けてしまうのではなく、性別を問わず人間として生きることができる社会を構築する必要性や、その前提としてジェンダー研究が果たす役割の重要性を感じた。

サイエンスカフェ

野口なつき(看護師)

藤田榮史教授「名古屋圏における青少年の自立に関する研究」

マンデーサロン 2013年4月22日(月)

講師: 藤田榮史教授(労働社会学)

テーマ: 研究プロジェクト報告会(3)「名古屋圏における青少年の自立に関する研究」

今回の報告を、現場でこの問題に向き合っている者として、興味深く拝聴いたしました。一般の方々にはなかなか認識されていないサポートステーションについて、評価いただいたこと、大変嬉しく思います。

サポートステーションには、毎日、様々な問題を抱えている方が来所されます。キャリアカウンセラー、臨床心理士がカウンセリングを実施しています が、それだけでは、解決できない問題が多いようです。例えば、ひきこもり経験者やニートとされる方は、長く社会とつながりを持たずにいたことで、本来なら ば得られたはずであろう安心感や、他人からの承認・自己肯定などの経験が少ないのは明らかです。サポートステーションには、そういう方々が社会とつながる きっかけを提供するという役割も必要となります。

また、ご報告にあったように発達障害特性を持った方も多いのですが、精神疾患(うつ病等)の方も一定の割合でいらっしゃいます。一度は就職したもの の、病気のために退職せざるを得なかった方は、再発の恐れを抱きながら、就職活動をされています。そういう方には、福祉領域の支援と連携することで、不安 を少しでも取り除くことができます。

私たちスタッフには、多様な支援ツールを開発したり、支援ネットワークを構築することも求められていると認識して、活動をしています。今年は、新た に学校連携事業も始まりました。中退者や在学生にも対象を広げて支援していこうというものです。サポートステーションに期待されるものが、事業年度を重ね ていくほど大きくなっていくことに、身の引き締まる思いです。

私は、今回のこの報告会に参加させていただいて、「これからも、一人でも多くの方の笑顔を見るために、努力していこう」とあらためて思いました。このような機会をいただき、本当に感謝しております。ありがとうございました。

マンデーサロン

いちのみや若者サポートステーション キャリアカウンセラー 飯田裕子

20130422マンデーサロン

2013年4月23日の中日新聞朝刊で紹介されました。