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人間文化研究所共同研究プロジェクト成果報告会

マンデーサロン 2015年1月26日(月)

人間文化研究所共同研究プロジェクト成果報告会

第1部「ポストエスニック時代の文学におけるオムニフォンの意義」

第2部「名古屋の観光を歴史・文化・まちづくりから考える」

今回は土屋勝彦氏と溝口正人氏の報告があり、土屋氏はシンポジウム「日本文学における越境の諸相」、溝口氏は歴史的町並の保存方法をテーマに報告された。
近世日本では西欧文学を輸入し、それを翻訳する作業が盛んに行われたが、日本文学は翻訳をした者の文学も構成要素の一つとなっている。すると、翻訳者たちの文学には、自然とヨーロッパ的表現が入っていることになるだろう。このように考えると、日本文学と言いながら、最初からその中にヨーロッパ的要素が含まれていることになり、本当の日本文学とは何か、本当の「越境」とは何か、さらには「日本的」とは何かと言う疑問が出てくる。土屋氏の報告はこのようなことを考える良いきっかけとなった。

日本には多くの歴史的建築物があるが、これらをどう保存していくか。溝口氏は歴史的町並の保存には①住めること②清潔さ③見える価値の三つが必要と言われた。この中で①住めること、という点は盲点であったが、とても納得した。そのため外観を残し、中は快適に住めるようにリフォームしているものもあるらしい。しかし、建築物によっては中の構造自体に価値があるものもあるはずである。このような建築物に対してどう対応して保存するのか考える必要があると感じた。
今回は土屋・溝口両氏による報告であって、それぞれの報告テーマは直接関係するものではなかったが、両氏の報告とも新たに考えるきっかけを与えてくれた有意義なものであった。

手嶋大侑(本学研究科博士前期課程)

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