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樋澤 吉彦准教授「ソーシャルワーカーは誰/何を支援する専門家なのか?-「倫理的に危険な商売」の仲間入りを果たした医療観察法下におけるソーシャルワーカーの役割-」

マンデーサロン 2011年5月16日(月)

テーマ: 「ソーシャルワーカーは誰/何を支援する専門家なのか?-「倫理的に危険な商売」の仲間入りを果たした医療観察法下におけるソーシャルワーカーの役割-」

講 師: 樋澤 吉彦准教授

マンデーサロン「ソーシャルワーカー」のタイトルに興味を持ち、久しぶりに参加したマンデーサロンだった。本講演は、医療観察法の成立による、ソーシャルワーカー(SW)、特にPSW(精神保健福祉士)の役割に関しての問題提起であったといえよう。「簡単にいえば、『余計なお世話』と『余計でないお世話』の境界はどこにひかれるのか?ということである。」とレジュメの一節にある。精神保健福祉分野における介入の問題を学ばせていただくよい機会となった。

樋澤先生は結論の一つとして「PSWが本法における強制処遇に内包する「社会防衛」的意味と「生活支援」的意味の両義性を消極的に肯定していること」を挙げられていた。個人的な体験であるが、保護観察所からキャリア支援を依頼されている私にとって、この「社会防衛」と「生活支援」という言葉はたいへん示唆的であったことを付記しておきたい。保護観察中の少年の面談に際しては、同僚から「社会防衛」上のリスクを再三指摘され、他の利用者と同様の「生活支援」を行うことの困難さを実感した次第である。

重原 厚子(人間文化研究所特別研究員)