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阪井 芳貴教授「沖縄の日本復帰の日にちなんで ─復帰39年の意義─」

41回サイエンスカフェ 2011年5月15日(日)

テーマ: 「沖縄の日本復帰の日にちなんで ─復帰39年の意義─」

講 師:  阪井 芳貴教授

サイエンス・カフェ

5月15日、「沖縄日本復帰の日」その当日に受講する阪井先生の講義はとても有意義なものでした。 まず、復帰を考える前に沖縄近現代史を知るということで、沖縄が4つの時代を経てきたこと、それは常に外部からの力によって支配される歴史であったことが説明されました。そして「沖縄」と「日本」双方から見た互いの関係や、今沖縄が抱えている問題点などをわかりやすく説明していただきました。

先生ご自身が基地の近くに住んでいた経験もあり、沖縄とは「戦争の見える島」である、とおっしゃった言葉は非常に重く心に残っています。私たちは、癒しの島・美しい楽園というイメージを沖縄に求めていますが、それはほんの一面で、実際には 基地問題や環境問題が深刻であることは、昨今の報道で少しは理解しているつもりでした。しかし、「生活圏に基地があるということは、住民の日常生活と“戦争”が隣り合わせであること」という現実を示されたとき、自分の認識不足を強く感じました。そしてこの現実を多くの人が認識し、沖縄だけの問題ではなく日本国民全体の問題として考えなくてはならないと改めて感じました。

また、「日本復帰に際しての沖縄県知事のことば」の中で、沖縄県人の悲願であった復帰が決まったことへの感激の言葉が述べられている反面、「必ずしも願望が入れられたとは言えない」「これからもなお厳しさが続き新しい困難に直面するかもしれない」という複雑な思いが述べられており、手放しでは喜べない当時の人々の感情を知りました。そしてそれが39年経った今でもほとんど解決されずに残っていることを考えると、とても申し訳ない気持ちになりました。

沖縄に対する無関心、無理解を無くすにはどうしたらよいか?なかなか答えは出ませんが、自分のできる範囲で真実を知り、それを誰かに伝えられるようにこれからも勉強したいと思います。

斉藤なつ江(市民)