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谷口由希子准教授「児童養護施設の子どもたちの生活過程 ―子どもたちはなぜ排除状態から脱け出せないのか―」

マンデーサロン 2013年5月27日(月)

講師:谷口由希子准教授(児童家庭福祉論)

テーマ:「児童養護施設の子どもたちの生活過程 ―子どもたちはなぜ排除状態から脱け出せないのか―」

今年から本大学に着任された谷口准教授の研究報告が行われた。
本研究では、貧困の再生産を断ち切るという問題意識のもと、児童養護施設を中心に社会福祉の介入にもかかわらず社会的に排除状態におかれる子どもたちを「脱出(get out)」という独自の概念を用いて捉えている。

実証研究の方法として、個人レベルでの主体形成の過程を子どもたちの生活の過程と捉え、子どもの語りを直接聞くことと援助組織との相互作用を参与観察することで分析している。
発表を聞き、「社会的排除」に対する「社会的包摂」という政策指向とは別の「脱出」という当事者の視点を強調する枠組みが新鮮であった。また、この枠組みが今後の社会福祉研究の発展に大きく寄与する重要なものであることを感じた。
なお、谷口准教授は、本発表のタイトルともなっている著書により「損保ジャパン記念財団賞」を今年受賞された。

下方丈司(本学大学院生)

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