鋤柄増根教授「『こころ』を測定することから心理学は始まる」

第64回サイエンスカフェ 2014年2月22日(土)

講師:鋤柄増根教授

テーマ:「『こころ』を測定することから心理学は始まる」

サイエンスカフェには今回初めての参加でした。案内に大学内の会場で茶菓子、飲み物付とありましたので学生食堂の雑然とした会場をイメージしていましたが、当日カフェ会場に入ると、上質で落ち着いた雰囲気が漂っていて、いい意味で裏切られました。

お話は、「努力すれば夢は叶うと言われる、その努力は、どうやって測定したらいいのでしょうか」という鋤柄先生の問いかけから始まりました。そして、測定するとは何か。また、なぜ「こころ」が測定できるといえるのかを、長さや重さなどの一般的な測定と比較しながらわかりやすく説明していただきました。人間の内的世界を数えられる量として認識したことのなかった私にとって、「こころ」の測定にも単位が存在していて客観的に測定できるのだというお話は、とても新鮮で興味深いものでした。後半は、集団の中での個人差測定の理論を学びました。これは、複数の個体を比較して集団内の相対的位置と出現確率で能力の高さや性格を判断するもので、IQテストや大学入試センター試験、性格検査などのテスト開発に応用されているということでした。

質疑応答では、心理測定に関する率直な疑問や見解、「こころ」の定義を問う質問などが次々と出され、理解が深まったように思います。さらに会の終了後も数名の方が鋤柄先生を囲んで熱心に質問をされていたのが印象的でした。

柿崎美佐子(同研究科博士前期課程)

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土屋勝彦教授 「文学の面白さ-ドイツ語圏越境文学に魅せられて」

マンデーサロン 2014年1月27日(月)

講師:土屋勝彦教授

テーマ:人間文化研究所 共同研究プロジェクト成果報告会
「文学の面白さ-ドイツ語圏越境文学に魅せられて」

2014年1月27日に行われた講演「文学の面白さ―ドイツ語圏の越境文学に魅せられて」を拝聴し、感じたことを以下に綴ります。

今回の講演の主な内容は、11月2日に開催されたシンポジウム「文学における間文化性―地域的、国民的、大陸的アイデンティティの諸相」の報告でした。ドイツ語圏で活躍されている越境作家の方々のテクストの抜粋が紹介され、個々のテクストの言語的特徴や、越境作家としてドイツ語で書くことの意味について、土屋先生からコメントが添えられました。非母語話者がドイツ語でものを書く意味に関し、それぞれの作家さんの興味深い視点が報告されましたが、そこに通底するものは「他者としての視点」であると感じました。ドイツ語の母語話者、或いはドイツで生まれ育った人々が当たり前のことと捉えている世界を異化する、他者としての視点です。そしてそのような視点は、土屋先生が仰ったように、本来、全ての作家が持つべきものでしょう。

自己の内部に存在するこの他者性が、越境作家の作品においては際立って光彩を放つものなのではないでしょうか。

樋口恵(名古屋大学文学研究科D3)

マンデーサロン-

共同研究プロジェクト成果報告会 「『名古屋の観光力』を刊行して」

マンデーサロン 2013年12月16日(月)

講師:山田明教授 吉田一彦教授 阪井芳貴教授 成田徹男教授

テーマ:人間文化研究所 共同研究プロジェクト成果報告会 「『名古屋の観光力』を刊行して」

今回、名古屋のまちづくりと観光を発展させることを目的とした、研究プロジェクトの集大成として刊行された『名古屋の観光力』の成果を報告していただきました。
マンデーサロン
その概要は、名古屋の素晴らしい歴史・文化を紹介しながら、今後の課題を提案しています。私には、名古屋は大都会のわりに美術館、映画館、本屋などが少なく文化的に遅れているイメージがあるため、江戸時代はまちづくりがさかんでかつて『芸どころ』と呼ばれていたことが意外に思われます。でも実は、大須文庫には国宝が4つもあり、名古屋城本丸御殿再建というビッグプロジェクトもひかえていて、名古屋には観光資源はたくさんあるのだと知りました。先生方の報告後の質問タイムでは、市民の方から、「鉄道会社が名古屋をあまりPRしないのが問題だ」というような面白い意見も出ました。
また、阪井先生の「名古屋は自己完結型社会で何でもそろっているため若者は外に出たがらないけれど、外に出てまた戻ってくることでより素敵な街づくりができる」というお話が印象に残りました。シルバー民主主義と言われ高齢者ばかり政治に参加したがり、若者の無関心が目立っている現代社会ですが、観光と街づくりに対しても若者の力が必要だと感じました。

林聖子(人文社会学部国際文化学科4年)

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久保田健市准教授「心理学の立場から見る、愛国心・ナショナリズム・多文化主義」

第63回サイエンスカフェ 2013年12月7日(土)

講師:久保田健市准教授

テーマ:「心理学の立場から見る、愛国心・ナショナリズム・多文化主義」

ときに人間を戦争へと導く愛国心・ナショナリズムとは心理学的にどのようなものなのか疑問に思い、サイエンスカフェへの参加を決めました。
実験結果や理論を分かりやすく解説してくださり、愛国心やナショナリズム、右傾化などの感情が入りやすい話を客観的に理解することができました。
自分は愛国心やナショナリズムに流されることはないだろうと思い込んでいましたが、集団間関係に関する実験結果や理論を見ていると、自分も集団の価値観に流されてしまう可能性があることに気がつき、驚きました。

また、質問の時間や空き時間などに自分とは異なる立場の人の意見を聞くことができ、これらの問題に対しての意見の多様さを直接感じることができました。
ヘイトスピーチなどで人を傷つける言葉を簡単に口にしてしまうような人に対して恐怖を感じていましたが、明確な悪意がなくても人を傷つける行為に走ってしまう可能性は、誰にでもあるのかもしれないと考えさせられました。

岡原里佳(本学部2年生)

サイエンスカフェ

天谷祐子准教授「『私』の在りかに関する発達心理学-小学生と大学生のとらえ方は?-」

第62回サイエンスカフェ 2013年10月5日(土)

講師: 天谷祐子准教授(発達心理学・教育心理学)/h3>

テーマ: 「『私』の在りかに関する発達心理学-小学生と大学生のとらえ方は?-」

今年三月に大学を卒業し、社会人として半年ほど生活したところで、今回のサイエンスカフェについて知りました。在学中に講師の天谷先生の授業を受けたこともあり、懐かしい気持ちと共に参加を決意しました。

今回は「『私』の在りかに関する発達心理学」ということで、何かを考えたり感じたりする「私」はどこに存在するのか、その認識が自身の発達によってどのように変化するのか、またその背景についてを、天谷先生が噛み砕いて講義してくださいました。
初めにワークシートで、参加者の考える「私」が各々にとって明確にされていたので、講義内容に入り込みやすかったです。小学5、6年生と大学生の「私」に対する認識を比較をしていくところでは実体験と重ねられ、心理学の知識が深くない私でも興味を持って聞くことができました。

まだ研究途中のテーマとのことで、今後の展開がとても楽しみになりました。また機会があれば参加したいです。

飯田 佳祐(本学卒業生)

サイエンスカフェ

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