古賀弘之准教授「保育と音楽Ⅱ ~リトミックを通して育つものは?~」

第61回サイエンスカフェ 2013年8月31日(土)

講師: 古賀弘之准教授(音楽教育学)

テーマ: 「保育と音楽Ⅱ ~リトミックを通して育つものは?~」

今回のサイエンスカフェは私の恩師古賀先生が担当されるとのことで、ご挨拶を兼ねて2歳の息子と共に参加しました。幼児を対象としたリトミックの講座ということで、先生のピアノに合わせて飛んだり跳ねたりするようなものを想像していましたが、予想に反して大学での講義そのままの充実した内容に驚きました。

前半は理論編として、代表的な音楽教育法の特長と乳幼児期におけるリトミックを通した教育の意義などについて、穏やかな口調により簡潔で丁寧に解説されました。特に脳科学や心理学の側面からの解説は興味深く、自身の音楽活動や指導を通して感じていることが論理的に裏付けられ、大変良い刺激を受けました。後半ではうって変わり、親子一緒に賑やかな雰囲気の中で音やリズムを使った遊びを体験しました。息子にとっては初めてのリトミック体験でしたが、年上の子たちに混じって飛んだり跳ねたり、ボールを転がしたりといった遊びをとても楽しんでいる様子でした。

講座終了後にはすっかりテンションの高くなった息子を追い掛けながら、古賀先生はじめ学生時代お世話になった先生方にもご挨拶できました。次回の講座もまた息子を連れて参加したいと思いますので、楽しい企画を期待しています!

麓 洋介(市民)

サイエンスカフェ

原田信之教授「他国から学ぶ学力改革の処方箋―学力ショック後のドイツからみえる未来像―」

マンデーサロン 2013年7月25日(木)

講師:原田信之教授(教育内容研究)

テーマ:「他国から学ぶ学力改革の処方箋―学力ショック後のドイツからみえる未来像―」

2006(平成18)年、安部政権の下、教育基本法が改正されたことは記憶に新しい。改正の内実や解釈はさておいても、学校教育は国民形成、人材育成と いう目的から離して考えることはできない現実である。国家の将来と結びつく、学校教育のあり方には、今も昔も変わらぬ関心が持たれるものだが、グローバル 化を続ける現代社会において、世界競争力を備えるための子どもの学力形成には、とりわけ強い関心が持たれているのではないだろうか。

このような折に、本学マンデーサロンにおいて、ドイツ教育学者であり、現行学習指導要領の改善協力者の本学教授原田信之先生による講演が行われた。本講演は、PISAショックを乗り越え学力改革に成功したドイツから、積極的に日本が学ぶべき点が示唆されていた。

「PISA型学力」は、OECDが提示する一つの学力モデルであるが、その強制力は、どこにもない。しかし、少なくとも日本の場合は、教育現場へ責任を 負わせながらも、国は法律をはじめ、教育行政、予算の配分等を通して、手綱を握り続け、現場を統制している。講演終了後、「PISA型学力」について活発 な質疑応答が行われたが、もう少し時間が許せば、このような方向での議論も深めたいと思った。

安林奈緒美(市民)

マンデーサロン

佐々木みゆき教授「日本人学習者の英語ライティング行動の研究:『これまで』と『これから』」

マンデーサロン 2013年6月17日(月)

講師:佐々木みゆき教授(英語教育学)

テーマ:「日本人学習者の英語ライティング行動の研究:『これまで』と『これから』」

ライティング研究者の中でも世界的な研究者の1人である佐々木先生が、研究をされる中での苦悩を隠すことなく、本音で講演されていたのが大変印象的な講演でした。

英語を専攻する大学生が4年間の間にどのようにGlobal Planningを使用していくのかを被験者である学生それぞれに焦点を当てながら4年間追いかけるだけでも大変な研究であることは、容易に想像できますが、集団の中にいるそれぞれの学生が、それぞれの環境(外的要因)に影響を受け、それぞれのライティング活動において個人差があることを提示しながら、その変化が内的変化によって引き起こされることをわかりやすくまとめようとする新しい試みであるように感じました。

質疑応答では、他の分野を専門とする先生方からも率直なコメントが出され、先生方の研究に対する熱意を肌で感じることができました。また、議論の中には、フェイスブックを利用した大学のアカデミックライティング授業の試みや日本語の作文能力からの転移が起こるか、起らないかなどのことにも話が及び、自由闊達な意見交換がなされ、多くの刺激をいただきました。

マンデーサロン

品原健征(市民)

宮田学名誉教授「日本人英語に見られる誤り―その傾向と対策」

第60回サイエンスカフェ 2013年6月15日(土)

講師: 宮田学名誉教授(英語教育学)

テーマ: 「日本人英語に見られる誤り―その傾向と対策」

※2013年2月16日開催回のアンコール講座

中学、高校時代の恩師、宮田先生の講義を受けることができる、とお聞きし、内容を確認せずに今回の講義に参加させていただきました。どんな内容だろう?私にも理解できるのだろうか?と不安を抱きつつ、席に着きました。早速いただいた資料には、なんだか、見覚えのある英語の文章が並んでいました。

なんと、それは、かつて私たち附属の生徒が作った英作文で、間違えた代表的なものが挙げられていたのです。どのように直したらいいか考えるようにおっしゃられたのですが、日本人的な感覚の私には、よくわかりませんでした。「あとで、あてるから。」とおっしゃられ、わたしはもう、それだけで、ドキドキでした。ドキドキ感がおさまらないうちに、講義は始まり、久しぶりの宮田先生のトークにはまっていきました。日本人がよくおかす誤りは、紛れもなく私たち生徒たちがおかした誤りでした。対策方法としての、GDM手法は、まさに、目から鱗でした。そう、私たちが受けていたのは、このGDM手法にのっとった授業だったのか・・・今更ながら、感動でした。

現在、私は英語の指導はしておりませんが、将来、もし、そのような機会があるのでしたら、ぜひ、まず、この手法をもっと勉強し、少しでも、取り入れることができれば、と思っております。本当にありがとうございました。

橋本順子(名古屋大学教育学部附属中学・高等学校卒業生)サイエンスカフェ

谷口由希子准教授「児童養護施設の子どもたちの生活過程 ―子どもたちはなぜ排除状態から脱け出せないのか―」

マンデーサロン 2013年5月27日(月)

講師:谷口由希子准教授(児童家庭福祉論)

テーマ:「児童養護施設の子どもたちの生活過程 ―子どもたちはなぜ排除状態から脱け出せないのか―」

今年から本大学に着任された谷口准教授の研究報告が行われた。
本研究では、貧困の再生産を断ち切るという問題意識のもと、児童養護施設を中心に社会福祉の介入にもかかわらず社会的に排除状態におかれる子どもたちを「脱出(get out)」という独自の概念を用いて捉えている。

実証研究の方法として、個人レベルでの主体形成の過程を子どもたちの生活の過程と捉え、子どもの語りを直接聞くことと援助組織との相互作用を参与観察することで分析している。
発表を聞き、「社会的排除」に対する「社会的包摂」という政策指向とは別の「脱出」という当事者の視点を強調する枠組みが新鮮であった。また、この枠組みが今後の社会福祉研究の発展に大きく寄与する重要なものであることを感じた。
なお、谷口准教授は、本発表のタイトルともなっている著書により「損保ジャパン記念財団賞」を今年受賞された。

下方丈司(本学大学院生)

マンデーサロン

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