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森 哲彦教授「カントと人間-剛と柔-」

第14回 サイエンスカフェ 2008年7月20日(日)

テーマ: 「カントと人間-剛と柔-」

講師: 森 哲彦教授

講師の話や用意された報告文、資料は、今日生きるカントに焦点があてられ、しかも真心がこもっていて、私としては大変よかったと思う。しかし参加者の方から「これは学会ではないのだから、現代人にとって問題である、どうしたら社会がよくなるのか、この所で話がしてほしかった」という発言があった。森先生はそのことを話されたのであるが、不鮮明な所あって、意が十分に伝わらなかったからこういう発言が出たのだと思う。森先生は、カントがルソーの「人間愛」思想に触れ、一般者を低く見る研究者然としていた己の生き方を反省し、差別主義でなく、人間愛に満ちた生き方をしようとして、そのためには人間が自由で平等である根拠を示す必要があるわけで、カントは「3批判」でその根拠を示し、その成果においてカントは人間愛に満ちた世界を「人間学」として叙述したと語られた。

資料が厖大であったことも起因して、不鮮明に終わったことは反省材料である。
単語に「水深ければ底見えず、水浅ければ大魚を容れず」(水深不見底、水浅不容不大魚)とある。思想を語るにはある程度の難しさは避けられないのである。弁解のようでおこがましいが、了解していただきたく思う。そして皆さんの辛抱をお願いしたい。

久田健吉(市民学びの会会員・哲学サークル担当)

 

講師を含め32名の参加があって盛会であった。予想を超える参加者につき、冒頭部分で手違いがあり不愉快な思いをさせたことを主催者側からお詫び申し上げます。