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菅原 真准教授「ジェンダーの視点から考える民法の婚姻規定―世間の「常識」と憲法理念」

マンデーサロン 2011年3月14日(月)

テーマ: 「ジェンダーの視点から考える民法の婚姻規定―世間の「常識」と憲法理念」

講 師: 菅原 真准教授

本日のテーマは「ジェンダーの視点から考える民法の婚姻規定―世間の「常識」と憲法理念」であった。講師の菅原先生の話と、参加者の意見表明があった。

先生から参加学生に対する「あなたにとって最も大切なものは?」の質問から始まる。統計数理研究所「日本人の国民性調査」アンケートでは、この問いかけに対して圧倒的に多いのは「家族」であることが判明。ところがその家族の中での女性の位置は、過去および現在においてどのようなものであったか、またあるか。 第二次世界大戦が終わるまで、「家」維持をを目的とする旧民法下、女性は「三従」を強いられてきた。女性の一生は、まず親に、次いで夫に、老いては子に従うことが求められた。戦後、日本国憲法が制定され、24条によって不完全ながらも男女平等が実現した。それに伴う民法改正(1947年)によって両性の平等と理念とする法体制ができた。

しかし、現在も多くの課題が生じている。

その主なものは、①女性のみ再婚禁止期間があること、②夫婦別姓を望むカップルがいても法律上はそれができないこと、③婚外子の相続分に差があることである。 以上につき、説明があり、その後参加者からいくつかの意見表明(質問を含む)があった。主な意見表明(質問)を以下に記す。

(1)「男女平等」についての批判があるときくが、法律家としてどう考えるか。

(2)子どもは社会で育てるべきだと考えている。婚姻外の子についての差別があるが、それがなくなると家族関係の維持に問題が生じるというが、どう考えるべきか。

(3)憲法24条における「個人の尊厳と両性の平等」と13条の「すべて国民は、個人として尊重される」との関係は。

参加した私の感想―参加者全員がこの問題に深く関心を持っていることがわかった。問題が多岐にわたっているため、後の質疑応答の時間が不足したように思われる。

水野 清(同研究科研究員)

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