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有賀克明教授「科学ってこんなにおもしろかったの!?―理科ぎらいで、ああ、損した!―」

第19回 サイエンスカフェ 2008年12月14日(日)

テーマ: 「科学ってこんなにおもしろかったの!?―理科ぎらいで、ああ、損した!―」

講師: 有賀克明教授

サイエンスカフェ 12月のサイエンスカフェは「科学ってこんなにおもしろかったの!?-理科ぎらいで、あぁ、損した!」と題して、有賀克明教授による講義が行われた。奇しくも4名の日本人科学者が受賞したノーベル賞の授賞式のニュースが重なり、科学を再考するよい機会となった。
始めに、科学とは程遠いと思われるような子どものおもちゃが数々飛び出し、会場の参加者はひとしきり子ども時代に戻って遊んだ。会場の雰囲気が和んだところで、次に取り組んだのは理科の試験問題。科学離れが叫ばれて久しい日本の中学生が実際に受けたテストはなかなか難しかった。関係のないように見られる「おもちゃ」と「試験問題」の間に、日本人の科学離れについての連関性がある、というのが有賀教授の論である。科学を学ぶことによって我々が得るものの一つは科学的思考や論理的思考なのであるが、その根っこは子ども時代のおもちゃにある、というのである。おもちゃで遊びながら、「なぜ?」の芽が育つ、ということだ。便利になった日本で「なぜ?」の芽が育ちにくいというのはよくわかる。
決して理科が好きだったとは言えない私にとって、タンポポや蝶々についての有賀教授の説明は、難しい言葉を使わないわかりやすいものであり、素朴な「なぜ?」を埋めてくれるようなものであった。と同時に、植物や昆虫が合理性を追求しながら生きる姿を「生きるために生きる」と説明された有賀教授の言葉に、科学の本質を垣間見た気もした。科学を学んだその先には深い哲学に通ずる道が用意されているのかもしれない。
会場の約20名の参加者が熱心に講義に聴き入っておられる姿に、学びへの意欲の強さを感じ、刺激を受けることができたことも書き添えておく。

梶田美香(同研究科博士後期課程)