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森田 明教授「詩人BENNの”詩と真実” -1933年のナチ加担について」

第5回 サイエンス・カフェ 2007年10月21日(日)

テーマ: 「詩人BENNの”詩と真実” -1933年のナチ加担について」

講師: 森田 明教授

サイエンスカフェ最初にコーヒーとケーキ・フルーツが運ばれ、司会者の講師紹介があり、本日のテーマ「1930年代のドイツの文化―異色の詩人ゴットフリート・ベン」について講義(というよりも分かりやすいお話)が始まった。

詩人ベンへの熱い思いを込めたお話が進むに連れて、まさにドイツ語で言うゲミュートリッヒカイト(Gemiitlich Keit)(くつろぎ・安らぎ)の雰囲気が漂う。文学でも門学・美術でも芸術家の作品は、その人の気質・性格、あるいは生い立ち・環境の影響を大きく受ける。エピソードを多く交えながら、詩人ベンの各作品とその背景が語られる。詩そのものよりも、まずこの詩人への関心が高まり、あとで具体的に彼の詩を読んでみようという気持ちにさせられる。ハイネ・ミラー・リルケらの抒情的詩人とは全く異なり表現主義的詩人と言われるベンについて、これは難解な話になるのでは、とはじめは予想していた。しかし、彼の作品に直接接したいという意欲がわき起こるのは、この催しに参加した意義を痛切に感じる。

サイエンスカフェ2時間でもまだ足りない。もっと参加者の質問・対話・議論の時間があるとさらに楽しいものになっただろう。
この催しも「市民学びの会」のどんな催しも、先生たちの研究内容を聴くだけでなく、自由な討議や交流がなされることも重要であろう。いずれにしても社会に開かれた大学として名古屋市立大学の益々の発展を願ってやみません。

寺岡信之(「市民学びの会」会員)