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服部幸造教授「和泉式部の亡霊」

マンデー・サロン 2006年6月5日(月)

テーマ:「和泉式部の亡霊」

講師: 服部幸造教授

マンデーサロン6月5日(月)に本学人間文化研究所にて、本研究科教授服部幸造氏による発表「和泉式部の亡霊」がなされた。参加者は本研究科教員・大学院生・修了者含め20名近くもあり、本研究科の規模と月曜日の夕方という状況を考えると第1回目の“マンデー・サロン”に大きな関心が寄せられていることが伺われよう。

氏の発表は、和泉式部がその生前のイメージから中世における“亡霊”概念と重ね合わせられ、一種の信仰として畏敬の念をもって語り継がれていく様を、応仁の乱前後から戦国末期あたりまでの古典芸能や各種記録類を通じて新資料をも踏まえながら明らかにしたものであり、古典文学や芸能を通じて日本文化の研究に長年の研鑽をつまれた氏の力量の確かさと学識の豊かさ、さらにはその巧みな話術もあいまって氏の講義が本学における“人気講義”であることを納得させるに十分な内容であった。質疑応答においては、日本仏教史についての基礎的な知識から、当時の信仰の実態にいたるまでと幅広いテーマが話題となった。

また、本研究科においてはいわゆる古典研究を専門とする教員は比較的少数であるが、氏の発表に他領域の教員・院生が触れることにより、古典研究の世界を垣間見ることができたのは有意義な点の一つであったと思われる。他領域間の、また公的私的なコミュニケーションの場としての“マンデー・サロン”のさらなる発展が望まれる所以である。

原口耕一郎(同研究科博士後期課程)