Archive for the ‘マンデーサロン’ Category

Dr. Tolga ÖZŞEN「トルコから『日本』を読む ―ステレオタイプの日本理解を超えて」

マンデーサロン 2014年3月24日(月)

講師:Dr. Tolga ÖZŞEN(トルガ・オズシェン)

テーマ:「トルコから『日本』を読む ―ステレオタイプの日本理解を超えて」

マンデーサロン

日本人がトルコに対して知っていることはなんだろう。思いつくのは「ケバブ」や「ムスク」くらいだろうか。それと同じで、大半のトルコ人にとって「日本」と聞いて思いつくのは「Sushi」くらいだそうで、互いにステレオタイプのイメージしか持っていないと思う。

今回のセミナーはトルコの大学で日本学科を専攻している学生らが、日本をどのように理解しているかを分析する講義であり、大変興味深い内容であった。そもそも「日本が好きだから」という理由で日本学科を専攻している学生は少なく、大半は「テクノロジー大国日本」で働き、お金持ちになりたいからという道具的動機から日本を学んでいる学生が多い。そのためか、日本を「商品」として考えており、日本について表面的な理解しかできていない学生が多い。その結果、実際に日本社会に入って働くと、様々な苦労をしているトルコ人が多いと言う。

私は現在トルコ人の方達と仕事をしており、日本人にとっての当然が通じなかったり、仕事がスムーズに進まなかったりという経験が多々ある。それを解消する為にも、相手の文化や習慣についてより勉強し、相互に深く理解していく必要があると強く感じる良い機会となった。

島崎三穂(NPO法人名古屋トルコ日本協会・人文社会学部国際文化学科卒業生)

マンデーサロン

土屋勝彦教授 「文学の面白さ-ドイツ語圏越境文学に魅せられて」

マンデーサロン 2014年1月27日(月)

講師:土屋勝彦教授

テーマ:人間文化研究所 共同研究プロジェクト成果報告会
「文学の面白さ-ドイツ語圏越境文学に魅せられて」

2014年1月27日に行われた講演「文学の面白さ―ドイツ語圏の越境文学に魅せられて」を拝聴し、感じたことを以下に綴ります。

今回の講演の主な内容は、11月2日に開催されたシンポジウム「文学における間文化性―地域的、国民的、大陸的アイデンティティの諸相」の報告でした。ドイツ語圏で活躍されている越境作家の方々のテクストの抜粋が紹介され、個々のテクストの言語的特徴や、越境作家としてドイツ語で書くことの意味について、土屋先生からコメントが添えられました。非母語話者がドイツ語でものを書く意味に関し、それぞれの作家さんの興味深い視点が報告されましたが、そこに通底するものは「他者としての視点」であると感じました。ドイツ語の母語話者、或いはドイツで生まれ育った人々が当たり前のことと捉えている世界を異化する、他者としての視点です。そしてそのような視点は、土屋先生が仰ったように、本来、全ての作家が持つべきものでしょう。

自己の内部に存在するこの他者性が、越境作家の作品においては際立って光彩を放つものなのではないでしょうか。

樋口恵(名古屋大学文学研究科D3)

マンデーサロン-

共同研究プロジェクト成果報告会 「『名古屋の観光力』を刊行して」

マンデーサロン 2013年12月16日(月)

講師:山田明教授 吉田一彦教授 阪井芳貴教授 成田徹男教授

テーマ:人間文化研究所 共同研究プロジェクト成果報告会 「『名古屋の観光力』を刊行して」

今回、名古屋のまちづくりと観光を発展させることを目的とした、研究プロジェクトの集大成として刊行された『名古屋の観光力』の成果を報告していただきました。
マンデーサロン
その概要は、名古屋の素晴らしい歴史・文化を紹介しながら、今後の課題を提案しています。私には、名古屋は大都会のわりに美術館、映画館、本屋などが少なく文化的に遅れているイメージがあるため、江戸時代はまちづくりがさかんでかつて『芸どころ』と呼ばれていたことが意外に思われます。でも実は、大須文庫には国宝が4つもあり、名古屋城本丸御殿再建というビッグプロジェクトもひかえていて、名古屋には観光資源はたくさんあるのだと知りました。先生方の報告後の質問タイムでは、市民の方から、「鉄道会社が名古屋をあまりPRしないのが問題だ」というような面白い意見も出ました。
また、阪井先生の「名古屋は自己完結型社会で何でもそろっているため若者は外に出たがらないけれど、外に出てまた戻ってくることでより素敵な街づくりができる」というお話が印象に残りました。シルバー民主主義と言われ高齢者ばかり政治に参加したがり、若者の無関心が目立っている現代社会ですが、観光と街づくりに対しても若者の力が必要だと感じました。

林聖子(人文社会学部国際文化学科4年)

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原田信之教授「他国から学ぶ学力改革の処方箋―学力ショック後のドイツからみえる未来像―」

マンデーサロン 2013年7月25日(木)

講師:原田信之教授(教育内容研究)

テーマ:「他国から学ぶ学力改革の処方箋―学力ショック後のドイツからみえる未来像―」

2006(平成18)年、安部政権の下、教育基本法が改正されたことは記憶に新しい。改正の内実や解釈はさておいても、学校教育は国民形成、人材育成と いう目的から離して考えることはできない現実である。国家の将来と結びつく、学校教育のあり方には、今も昔も変わらぬ関心が持たれるものだが、グローバル 化を続ける現代社会において、世界競争力を備えるための子どもの学力形成には、とりわけ強い関心が持たれているのではないだろうか。

このような折に、本学マンデーサロンにおいて、ドイツ教育学者であり、現行学習指導要領の改善協力者の本学教授原田信之先生による講演が行われた。本講演は、PISAショックを乗り越え学力改革に成功したドイツから、積極的に日本が学ぶべき点が示唆されていた。

「PISA型学力」は、OECDが提示する一つの学力モデルであるが、その強制力は、どこにもない。しかし、少なくとも日本の場合は、教育現場へ責任を 負わせながらも、国は法律をはじめ、教育行政、予算の配分等を通して、手綱を握り続け、現場を統制している。講演終了後、「PISA型学力」について活発 な質疑応答が行われたが、もう少し時間が許せば、このような方向での議論も深めたいと思った。

安林奈緒美(市民)

マンデーサロン

佐々木みゆき教授「日本人学習者の英語ライティング行動の研究:『これまで』と『これから』」

マンデーサロン 2013年6月17日(月)

講師:佐々木みゆき教授(英語教育学)

テーマ:「日本人学習者の英語ライティング行動の研究:『これまで』と『これから』」

ライティング研究者の中でも世界的な研究者の1人である佐々木先生が、研究をされる中での苦悩を隠すことなく、本音で講演されていたのが大変印象的な講演でした。

英語を専攻する大学生が4年間の間にどのようにGlobal Planningを使用していくのかを被験者である学生それぞれに焦点を当てながら4年間追いかけるだけでも大変な研究であることは、容易に想像できますが、集団の中にいるそれぞれの学生が、それぞれの環境(外的要因)に影響を受け、それぞれのライティング活動において個人差があることを提示しながら、その変化が内的変化によって引き起こされることをわかりやすくまとめようとする新しい試みであるように感じました。

質疑応答では、他の分野を専門とする先生方からも率直なコメントが出され、先生方の研究に対する熱意を肌で感じることができました。また、議論の中には、フェイスブックを利用した大学のアカデミックライティング授業の試みや日本語の作文能力からの転移が起こるか、起らないかなどのことにも話が及び、自由闊達な意見交換がなされ、多くの刺激をいただきました。

マンデーサロン

品原健征(市民)