Archive for the ‘サイエンスカフェ’ Category

野中壽子教授「幼児期の運動機能の発達と遊び」

58回サイエンスカフェ 2013年3月23日(土)

講師: 野中壽子教授

テーマ: 「幼児期の運動機能の発達と遊び」

※2012年12月15日開催回のアンコール講座

もうすぐ二歳になる娘が「ぴょーん!」と言いながら片足ずつ地面から離す。何度も何度も楽しそうに繰り返すこと数日・・・ついに両足が揃って地面から離れた。その瞬間の本人の驚いた表情はとても印象深いものであった。

この様に大人になれば当たり前に出来ると思っている「その場で跳ぶ」という運動も人間は一から“遊びながら”体得していくのである。しかし、社会環境や生活様式の変化によって、幼児期に夢中で体を動かした経験の乏しい子どもたちが増えており、児童期以降の運動能力や延いては心の成長にも影響を及ぼしていると言われている。

本講座では、「幼児期に習得させておきたい36の動き」をベースに日常生活の中で遊びながら体を動かすヒントをたくさん頂く。留意点として「子どもは発達しようとして運動するのではない、楽しいからと何度もやっているうちに発達するのである」と野中教授。子どもの発達を近くで見守る大人たちは、「運動機能を発達させよう!」と力んでやらせるのではなく「動くこと・運動することを生活の中で自然に取り入れられるような環境」を意識的につくりたい。

子どもと車で買い物に行き、抱っこで店まで移動し、カートに乗せて買い物をさっと済ませ、重い荷物も全て大人が持つ。効率重視の大人の活動が、子どもの自然な発達機会を無意識に奪っていく。

「子どもはゆったり育てましょう」あちらこちらで言われる言葉の意味が、心の成長の為だけではなく、運動機能の発達の機会を奪わないように、ということにも当てはまると気付かされ、子どもとの生活を見直すよいきっかけとなった。

森田 聡恵(市民)

サイエンスカフェ

宮田学教授「日本人英語に見られる誤りーその傾向と対策」

第57回サイエンスカフェ 2013年2月16日(土)

講師:宮田 学教授

テーマ:「日本人英語に見られる誤りーその傾向と対策」

「タイトルが良かったのでしょうか、こんなに多くの皆様にお集まりいただき有り難うございました」とご挨拶されて宮田学先生の講演が始まりました。会場は満席、事務局は溢れた方々のため二回目の講演も用意されたようです。英語教育の第一人者として知られる宮田先生のユーモアと流暢な英語による実例を交えた解説に、参加者は目から鱗の連続で、まさに感動の2時間でした。市民の皆様にこのような機会を提供出来ましたことを誇りに思います。

戸苅 創(名古屋市立大学学長)

サイエンスカフェ

野中壽子教授「幼児期の運動機能の発達と遊び」

56回サイエンスカフェ 2012年12月15日(土)

講師: 野中壽子教授

テーマ: 「幼児期の運動機能の発達と遊び」

1児の母として、野中先生のお話を聞きに伺いました。サイエンスカフェ

お話は発達段階の説明から、具体的な運動の実践方法まで多岐にわたり、大変興味深い内容でした。

文科省は3才~6才の子どもに、毎日60分以上楽しく体を動かすことを推奨しているそうです。毎日60分!と思いますが、外遊びや、掃除のお手伝いといった日常的な生活の中に、楽しく体を動かすコツがあるとのこと。特別な道具を用いなくても、例えば1つのタオルで瞬時につかむ遊びや飛び越え遊びなど様々な楽しい遊びがあることを見せていただきました。

サイエンスカフェ

また、幼児期に習得させたい36の基本的な動きの説明がありました。なにげないボール遊び1つをとっても、空間認知能力を育む重要な遊びとのこと。物を受けたり的に当てたり、空中にあるものの動きにあわせて自分の位置をかえることで、空間を認知していくそうです。その他、さまざまなことをグラフや映像などを使って説明していただき、もっともっとお話が聞きたいと思いつつ、あっという間に時間が終わりました。

子どもにどうやって、運動をさせたら良いのか・・・と思っていた私には、大いにヒントになる刺激的な内容でした。

生田 京子

野村直樹教授「みんなのベイトソン 学習するってどういうこと?」

55回サイエンスカフェ 2012年10月20日(土)

講師: 野村直樹教授

テーマ: 「みんなのベイトソン 学習するってどういうこと?」

サイエンスカフェ希代の思想家といわれるグレゴリー・ベイトソン。その第一人者の野村先生が登場されることを知り、京都から参加しました。愛知県外では、東京、大阪、神戸からの参加者もおられました。

先生は飾らぬ語り口でやさしく話し始められました。お話が進むに従いどんどん引き込まれ、あっという間に2時間が経過。終了後も参加者との対話が続きました。ベイトソンに会ったことはありませんが、きっと先生と同じように話していたのではないでしょうか。

先生がお話しされた内容のほんの一端だけですが列挙します。ベイトソンは脱デカルトとして思考空間を広げる。意味はモノにではなく関係性にある。現実は区切り方次第で変わる。コミュニケーションが社会組織を生み出す。コミュニケーションは個ではなくやりとりを単位としてみる。コミュニケーションは変化であり学習である。変化には状態の変化と行動様式の変化がある。学習には、反応が一定のゼロ学習、試行錯誤を伴う学習Ⅰ、型となり変化しにくくなる学習Ⅱ、型を超え変化させる学習Ⅲがある。ベイトソンの関係性の科学は、見方を変える自由、可能性をもたらす。

野村先生のご著書『やさしいベイトソン』『みんなのベイトソン』は、最良の入門書だと思います。難解とされるベイトソンについて、これほどわかりやすい説明に出会ったことはありませんでした。今回、先生ご本人からさらに噛んで含めるようにご説明いただき、理解が一層深まりました。

このような貴重な機会をご提供いただいた野村先生、スタッフの皆様に心より感謝申し上げます。

鈴木 隆(大阪ガス株式会社 エネルギー・文化研究所)

サイエンスカフェ

上田敏丈准教授「保育園・幼稚園の先生は、何を『見守る』のだろうか?~子どもと関わるために~」

54回サイエンスカフェ 2012年9月15日(土)

講師:上田敏丈准教授

テーマ:「保育園・幼稚園の先生は、何を『見守る』のだろうか?~子どもと関わるために~」

サイエンスカフェ
54回目のサイエンスカフェの講師は若きホープ、上田敏丈准教授。会場には園長、現役の保育者、子育て中の母親、学びたい意欲満々の紳士、私のようなかけだしの研究者等、実に様々なお顔ぶれであったように思う。

子育てにおいて「見守る」という定義から始まり、事例DVD視聴、ディスカッション、質疑応答という流れであった。それぞれの立場と視点から、思い思いの意見や質問が途切れることなくあった。

心に残ったキーフレーズは、「見守るということは、私はここにいるのよ~という安心感、子どもとの信頼関係」。保育者にはもちろんのこと、世の母親たち全てに聞いてほしいキーフレーズであった。日本の保育専門性の高さというキーフレーズも何度も紹介していただき、感情労働と言われる仕事であるがその礎を実感した指摘であった。

カフェには、リラックスしたり、議論を楽しんだり、好きなときに来て好きなときに出ていけるというイメージがある。そのため誰とでも対等の関係、すなわち、環境は様々だが、敬意においては対等の関係で話題と時間を共有して議論することができる場だと言える。

この日の会場は、いつものカフェではなく、講義教室であったが、それもまた新鮮で、加えて先生方始め、スタッフの方々の温かい雰囲気作り~まさに環境作りがNICE!~だったおかげで発言にも自然と笑みがこぼれたり、拍手が沸き起こったりするなど、まさにほっとするカフェテリア空間が大変居心地良く感じた。「え~もう終わり~?」「またやろうね~」「ありがとう」「楽しかった」。保育をするうえで子どもたちのこういった発言が出たら大成功! 楽しい時間に心から感謝申し上げる。

加藤博子(保育養成校実習担当教員、名古屋市子育てサポーター講座講師)