Archive for 7月, 2006

福吉勝男教授「使えるヘーゲル」 

マンデー・サロン 2006年7月3日(月)

テーマ:「使えるヘーゲル」

講師: 福吉勝男教授

7月3日月曜日。第2回目の開催となった「マンデー・サロン」は、研究所の椅子が足りなくなるくらいの盛況ぶりであった。講師は福吉勝男教授。言わずと知れた、ヘーゲルをはじめとしたドイツ哲学の専門家である。つい最近平凡社新書より刊行された著書『使えるヘーゲル 社会のかたち、福祉の思想』について直々に話が聴けるとあって、多くの教員、院生らがこの本を片手に半ば興奮気味に集まってきた。

実際には、福吉教授の話はこの本の単なる内容紹介というよりも、それを今後さらに発展させ、展開するうえでのラフスケッチを示すことを中心に進められた。題して「現代の〈公共哲学〉とヘーゲル」。ヘーゲルの市民社会論に公共圏を見出し、現代の公共性をめぐる一連の議論、あるいはトクヴィル、アーレント、ハーバマスといった思想家のそれと比較を試みた興味深い内容である。「この発見が一体どう活かされるのか?」表現は様々であったものの、参加者からの質問はこの一点に集中したように思われる。

マンデーサロンこれに対して提示された答えは、「〈市場-公共〉リンク市民社会論」という全く新しい概念であった。その中身は明確には示されなかったが、誰もが自分の手でそれを探り出したくなるような誘惑にかられていたことだけはたしかである。ヘーゲルへの誘い。福吉教授の意図は実はそこにあったのかもしれない・・・。

小川仁志(同研究科博士後期課程)