Archive for 5月, 2011

樋澤 吉彦准教授「ソーシャルワーカーは誰/何を支援する専門家なのか?-「倫理的に危険な商売」の仲間入りを果たした医療観察法下におけるソーシャルワーカーの役割-」

マンデーサロン 2011年5月16日(月)

テーマ: 「ソーシャルワーカーは誰/何を支援する専門家なのか?-「倫理的に危険な商売」の仲間入りを果たした医療観察法下におけるソーシャルワーカーの役割-」

講 師: 樋澤 吉彦准教授

マンデーサロン「ソーシャルワーカー」のタイトルに興味を持ち、久しぶりに参加したマンデーサロンだった。本講演は、医療観察法の成立による、ソーシャルワーカー(SW)、特にPSW(精神保健福祉士)の役割に関しての問題提起であったといえよう。「簡単にいえば、『余計なお世話』と『余計でないお世話』の境界はどこにひかれるのか?ということである。」とレジュメの一節にある。精神保健福祉分野における介入の問題を学ばせていただくよい機会となった。

樋澤先生は結論の一つとして「PSWが本法における強制処遇に内包する「社会防衛」的意味と「生活支援」的意味の両義性を消極的に肯定していること」を挙げられていた。個人的な体験であるが、保護観察所からキャリア支援を依頼されている私にとって、この「社会防衛」と「生活支援」という言葉はたいへん示唆的であったことを付記しておきたい。保護観察中の少年の面談に際しては、同僚から「社会防衛」上のリスクを再三指摘され、他の利用者と同様の「生活支援」を行うことの困難さを実感した次第である。

重原 厚子(人間文化研究所特別研究員)

阪井 芳貴教授「沖縄の日本復帰の日にちなんで ─復帰39年の意義─」

41回サイエンスカフェ 2011年5月15日(日)

テーマ: 「沖縄の日本復帰の日にちなんで ─復帰39年の意義─」

講 師:  阪井 芳貴教授

サイエンス・カフェ

5月15日、「沖縄日本復帰の日」その当日に受講する阪井先生の講義はとても有意義なものでした。 まず、復帰を考える前に沖縄近現代史を知るということで、沖縄が4つの時代を経てきたこと、それは常に外部からの力によって支配される歴史であったことが説明されました。そして「沖縄」と「日本」双方から見た互いの関係や、今沖縄が抱えている問題点などをわかりやすく説明していただきました。

先生ご自身が基地の近くに住んでいた経験もあり、沖縄とは「戦争の見える島」である、とおっしゃった言葉は非常に重く心に残っています。私たちは、癒しの島・美しい楽園というイメージを沖縄に求めていますが、それはほんの一面で、実際には 基地問題や環境問題が深刻であることは、昨今の報道で少しは理解しているつもりでした。しかし、「生活圏に基地があるということは、住民の日常生活と“戦争”が隣り合わせであること」という現実を示されたとき、自分の認識不足を強く感じました。そしてこの現実を多くの人が認識し、沖縄だけの問題ではなく日本国民全体の問題として考えなくてはならないと改めて感じました。

また、「日本復帰に際しての沖縄県知事のことば」の中で、沖縄県人の悲願であった復帰が決まったことへの感激の言葉が述べられている反面、「必ずしも願望が入れられたとは言えない」「これからもなお厳しさが続き新しい困難に直面するかもしれない」という複雑な思いが述べられており、手放しでは喜べない当時の人々の感情を知りました。そしてそれが39年経った今でもほとんど解決されずに残っていることを考えると、とても申し訳ない気持ちになりました。

沖縄に対する無関心、無理解を無くすにはどうしたらよいか?なかなか答えは出ませんが、自分のできる範囲で真実を知り、それを誰かに伝えられるようにこれからも勉強したいと思います。

斉藤なつ江(市民)