Archive for 1月, 2013

土屋勝彦教授・田中敬子教授・山本明代教授「世界文学におけるオムニフォンの諸相」

マンデーサロン 2013年1月29日(月)

講師: 土屋勝彦教授・田中敬子教授・山本明代教授

テーマ: 研究プロジェクト報告会(1) 「―シンポジウム「世界文学におけるオムニフォンの諸相」について」

オムニフォンとは、「あらゆる言葉が同時に響き渡る言語空間」において、言語的コミュニケーションの中枢となる規範言語に抗い、少数言語に隠された文学的機能をすくいあげるという意味がある。質疑では、少数言語が母語を超える「揺らぎ」の可能性についての議論が主なトピックとなった。方言や土着の言葉で書かれた芸術作品に触れた際、一種のノスタルジアを感じたり、その異質性からエキゾチシズムを掻き立てられたりといった経験は、誰しもあるだろう。それが一種の「揺らぎ」であり、社会化の過程で失った、言語を介さないコミュニケーションに基づく世界との一体感への、母体回帰のような感情へ結びつく。

「少数言語」は、あらゆる感情を伝える可能性を秘めた文節不可能なツールとしての「声」と、文法、発話、理性的構成などのルールを無視すれば即、理解不可能に陥るもろさをひめた「規範」との、いわば中間の領域にある。失われつつあるマイノリティとシンクロしようとする文学的試みは、現在の「われわれ」を形作る源となった「根源」を遡上し、「いま」を知る可能性へと繋がる。それは「退行」ではなく、新たなアイデンティティのあり方を見つける可能性へ向かって開かれているといえよう。

山尾 涼(同研究科研究員)

マンデーサロン

野中壽子教授「幼児期の運動機能の発達と遊び」

56回サイエンスカフェ 2012年12月15日(土)

講師: 野中壽子教授

テーマ: 「幼児期の運動機能の発達と遊び」

1児の母として、野中先生のお話を聞きに伺いました。サイエンスカフェ

お話は発達段階の説明から、具体的な運動の実践方法まで多岐にわたり、大変興味深い内容でした。

文科省は3才~6才の子どもに、毎日60分以上楽しく体を動かすことを推奨しているそうです。毎日60分!と思いますが、外遊びや、掃除のお手伝いといった日常的な生活の中に、楽しく体を動かすコツがあるとのこと。特別な道具を用いなくても、例えば1つのタオルで瞬時につかむ遊びや飛び越え遊びなど様々な楽しい遊びがあることを見せていただきました。

サイエンスカフェ

また、幼児期に習得させたい36の基本的な動きの説明がありました。なにげないボール遊び1つをとっても、空間認知能力を育む重要な遊びとのこと。物を受けたり的に当てたり、空中にあるものの動きにあわせて自分の位置をかえることで、空間を認知していくそうです。その他、さまざまなことをグラフや映像などを使って説明していただき、もっともっとお話が聞きたいと思いつつ、あっという間に時間が終わりました。

子どもにどうやって、運動をさせたら良いのか・・・と思っていた私には、大いにヒントになる刺激的な内容でした。

生田 京子