Archive for 9月, 2009

成田徹男教授「問題な日本語―日本語の何が問題か」

第28回 サイエンスカフェ 2009年9月20日(日)

テーマ: 「問題な日本語―日本語の何が問題か」

講 師: 成田徹男教授

サイエンスカフェ9月20日、丸善にて人間文化研究所主催サイエンスカフェが行われました。この日は、言語学のご専門である成田徹男教授が、「問題な日本語――日本語の何が問題か――」と題され、現代の日本語の問題として、「ら抜きことば」や「敬語の変化」を中心に、ご講演くださいました。

「ら抜きことば」は、最近特に話題となっている「見れる」「来れる」といったことばで、「誤用ではなく、合理的な変化の進みであり、今後は「ら抜き」の形がふつうになるという説もある。」いうお話もあり、大変興味深く拝聴しました。

「敬語の変化」については、「方言の敬語が、消えつつあり、方言の敬語が共通語化している。」といった「方言の敬語の共通語化」や、「「おいしゅうございます」が消えつつあり、「おいしいです」がふつうになりつつある。」といった、「ていねい体の変化」をお話しくださいました。「消えつつある」ことばを、私たちはどのように継承していくのかを考えるきっかけを、与えてくださいました。

質疑応答において、「敬語の問題」、「ら抜きことばの使い分け」、「テレビにおけるニュースなどの字幕」など、参加者の方々が多数質問されました。皆さんが日頃から疑問を持っていらっしゃったことを、質問として投じられたようです。次から次へと質問がされるなか、時間があっという間に5時を回り、会の終了を大変名残惜しく思われました。

村田志保(同研究科博士後期課程)

阪井芳貴教授「あんやたん」写真展に寄せて ─ 報道写真に見る戦後おきなわ」

マンデーサロン 2009年9月14日(月)

テーマ:  「あんやたん」写真展に寄せて ─ 報道写真に見る戦後おきなわ」

講 師: 阪井芳貴教授

マンデーサロン写真展のパネルリストなど、豊富な資料を見ながら熱のこもった報告に耳を傾けた。参加者は23名であり、活発な質疑が行われた。翌日から開催される博物館での「あんやたん」写真展に案内する有意義なサロンとなった。以下は、報告者の阪井教授による事前案内である。

9月15日から、名古屋市博物館3階ギャラリーにて、沖縄タイムス社の所蔵する1945年から2008年までの報道写真から約200枚を展示する「あんやたん」写真展」を開催します。この3月から5月まで、横浜の新聞博物館で開かれて約1万人の見学者を集めた同名の展示会の縮小版ですが、その概説的な話になる予定です。沖縄戦終結後、本土から切り離されて独自の戦後を歩んだアメリカ世と、1972年の本土復帰後もさまざまな格差や変わらぬ基地負担に悩まされてきた新たなヤマト世を、時代を切り取り、またその時その時の課題を訴えてきた報道写真によって、一望することにより、ヤマト(本土)がいかに沖縄に無関心であったり貧弱な知識しか持ち合わせていないかを検証し、少しでも、沖縄の現実を理解する一助にしてみたいと思います。ちなみに「あんやたん」とは、「あのとき、あんなことがあったね」という意味のウチナーグチです。

山田 明 (同研究科教授)