Archive for 5月 23rd, 2008

宮田 学教授「日本人の英語はどこまで通じるか?」

第12回 サイエンスカフェ 2008年 5月18日(日)

テーマ: 「日本人の英語はどこまで通じるか?」

講師: 宮田 学教授

サイエンスカフェ
予想とは反して、日本の高校生の書く75%以上の英文がネイティブスピーカーにも理解されているという調査結果を知ると、世間から非難の多い日本の英語教育は決して間違っていないと考えざるを得ない。

日本人の生徒や学生が誤った英文を書くことは、日本語と英語の言語体系が異なることを考慮すると極めて自然なことであろうし、英文の誤りを気にせず、積極的に自己表現を促す教育が必要であるように考える。文法の小さなミスを恐れて、コミュニケーションという本来の活動行わないのは非常にもったいない話である。事実、一般的に日本の英語教育で1番重視される文法的誤りは、文の中で理解を助けるものが存在するため、ネイティブスピーカーはそのメッセージを容易に補正し、理解してくれるのだ。英語は完璧でなくてもいいことが数値で実感できた。

特に印象深いのは、誤解を引き起こした誤りが、論理的誤りと語用論的誤りにおいて高い確率が示されていることである。論理的に考え、それを表現することは非常に重要であるし、それを助けるのは英語の力ではなく、むしろ日本語の力であるように考える。そして、1文単位で和文英訳するのではなく、段落や文章レベルでライティングすることによってcommunicabilityを高め、外国人とのコミュニケーションを円滑に進めることができるように、日頃から意識することが重要であると宮田先生の話を聞いて認識できた。

品原 健征(同研究科博士前期課程)