Archive for 11月 30th, 2009

2009年人間文化研究所5周年記念シンポジウム

2009年人間文化研究所5周年記念シンポジウム

11月28日14時から人文社会学部棟201教室にて標記シンポジウムが開催された。博士後期課程の山田陽子さんが司会をつとめ、まずは吉田一彦研究科長が挨拶をした。ついで長野県下伊那郡泰阜村の松島貞治村長が「安心の村は自律のむら」と題して記念講演を行った。

泰阜村は人口1949人の高齢化率37.6%の小さな村であるが、65歳以上の人口は減少しつつあり、高齢化は乗り切った。泰阜村は在宅福祉の村として全国的に有名である。人間にとって「老い」「死」は避けることのできない現実である。高齢者の願いは「住み慣れた家で最 期を迎えたい」であり、そのために医療より福祉、在宅福祉に力を入れてきた。役場は山村社会の「拠り所」であり、合併を選択せず自律のむらを目指してきた。泰阜村は戦前、満州開拓に1200名の村民を送り出し、638名もの人が犠牲となった。国策にのらず、自分の足で歩む以外ないというのが結論だ。松島村長の講演はじつに示唆に富むものであり、テープを起こして詳細に紹介していきたい。

休憩をはさんで、「持続可能な社会」をテーマにパネルディスカッションを行った。パネラーは松島村長のほか、本研究科から成玖美准教授、村井忠政名誉教授、福吉勝男名誉教授、コーディネーターを私がつとめた。両名誉教授は、人間文化研究所の初代と2代目の所長である。3代目を私がつとめている。まず記念講演に対する感想・質問を手短に述べてもらい、会場からの質問を含め、村長にじっくり回答してもらった。記念講演とともに、延べ60名の参加者から好評のようであった。母の死の直後で疲れ果てていたが、無事にシンポジウムを終えられ嬉しいかぎりだ。

山田 明 (同研究所長)