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土屋勝彦教授 「文学の面白さ-ドイツ語圏越境文学に魅せられて」

マンデーサロン 2014年1月27日(月)

講師:土屋勝彦教授

テーマ:人間文化研究所 共同研究プロジェクト成果報告会
「文学の面白さ-ドイツ語圏越境文学に魅せられて」

2014年1月27日に行われた講演「文学の面白さ―ドイツ語圏の越境文学に魅せられて」を拝聴し、感じたことを以下に綴ります。

今回の講演の主な内容は、11月2日に開催されたシンポジウム「文学における間文化性―地域的、国民的、大陸的アイデンティティの諸相」の報告でした。ドイツ語圏で活躍されている越境作家の方々のテクストの抜粋が紹介され、個々のテクストの言語的特徴や、越境作家としてドイツ語で書くことの意味について、土屋先生からコメントが添えられました。非母語話者がドイツ語でものを書く意味に関し、それぞれの作家さんの興味深い視点が報告されましたが、そこに通底するものは「他者としての視点」であると感じました。ドイツ語の母語話者、或いはドイツで生まれ育った人々が当たり前のことと捉えている世界を異化する、他者としての視点です。そしてそのような視点は、土屋先生が仰ったように、本来、全ての作家が持つべきものでしょう。

自己の内部に存在するこの他者性が、越境作家の作品においては際立って光彩を放つものなのではないでしょうか。

樋口恵(名古屋大学文学研究科D3)

マンデーサロン-