市民学びの会も設立5年目となった今年、幸いにも上野千鶴子さんに講演をお願いできることになった。
フェミニスト、社会学者として高名な上野さんだが、最近は「おひとりさまの老後」の著者としてつとに有名だ。今回は男性版おひとりさまの指南書「男おひとりさま道」をベースに講演をお願いすることに決定した。ところが理事会で学習会を重ねるうちに、せっかくの機会だからおひとりさまの考え方の基本であるフェミニズムを語っていただきたいと意見が一致。ずうずうしくも内容の変更をお願いすることとなった。
時は3月、上野さんの東大での最終講義があの東日本大震災の影響で中止となった直後のこと。今回の講演会タイトル「不惑のフェミニズム」は、そこで使われる予定のものを譲っていただいたことになる。 130名余りの参加者を前に、ウーマンリブ、女性学、ジェンダー概念を説き、ジェンダー研究の成立は新しい研究課題の広がりをもたらし、経験の言語化をとおして当事者研究が誕生したと上野さん。学問の「客観・中立性」への疑問をつきつめながらのよどみない語り口にあっという間の90分だった。学生から中高年まで、幅広い年齢増の参加者だったが、 各々が「自分のフェミニズム」を見つめ、考える機会にしていただけたことと思う。(重原)