2016年5月27日 第11回総会 10周年記念行事

去る5月27日、市大病院内のサクラテラスにおいて、「市民学びの会」の総会と設立10周年記念行事が開催された。市民学びの会は名古屋市立大学より、市民に開放した学びの場を設立したいとの依頼を受けて、主に名市大関係者が中心となって2007年に発足した。発足当初は哲学、移民、戦争、子育て、英語関係の学びのサークルが作られ、主に中高年者が会員となって運営された。その後いくつかのサークルが発足し、現在は10サークルを超えるものとなっている。会員数も延べ200名前後にのぼる。
設立後節目の10年を経たということで、通常の総会の後、10周年記念行事を行った。記念行事として、日本古来の雅楽の会である「アユチ雅楽会」の華麗な奏楽と神楽舞が披露された。その後会員相互の親睦を図ってパーティが開催され、最後にはくじ引きによる景品も全員に渡された。参加者は約50名となった。

村井忠政市民学びの会会長より挨拶の後、通常総会が開催された。総会終了が終わって、伊藤恭彦名市大副学長からのご挨拶を頂いた後、アユチ雅楽会(代表は鬼頭リキ氏)のパーフォマンスが始まる。因みに、雅楽の世界では演奏と踊りのことを演舞とは呼ばず、奏楽と神楽舞と言うとのことである。奏楽と神楽舞を奏でていただいたのは、アユチ雅楽会8名(担当:楽太鼓、龍笛、鳳笙、篳篥、楽琵琶、舞人、歌唱)と名古屋市博物館サポーターMAROの名市大学生6名(担当:催馬楽桜人の歌唱)の総勢14名からの皆さまである。雅楽は、千年以上にわたり受け継がれてきた日本の文化遺産であり、 古くから日本に伝えられてきた歌や舞である。 そして、5世紀から9世紀にアジア大陸から伝えられた舞や音楽が合体して、今に伝わる雅楽の原型になっているとのことだ。
まず、管弦平調音取(かんげんひょうじょうねとり)が演奏された。これは雅楽の演奏楽に先立って行われる一種の「音合わせ」が、芸術的、形式的に高められて奏でられることになったようである。次に管弦平調越殿楽(かんげんひょうじょうえてんらく)が奏でられた。これは雅楽の曲の中で最も有名な曲であり、初詣や結婚式などのおめでたい場面で、耳にすることが多い曲であろう。
二曲目は神楽舞浦安の舞(がくらまいうらやすのまい)が巫女による神楽舞として行われる。浦安は「心が安らか」という意味。昔、日本のことを「浦安の国」といったのは、風土が美しく心安らに暮らせる平和な国であったからとされている。日々の平穏無事、国の平和を祈る舞である。そして最後には、催馬楽桜人(さいばらさくらびと)が奏でられる。催馬楽とは、平安時代に生まれた「謡物/歌物(うたもの)」と呼ばれる雅楽の一つの種類である。『催馬楽 桜人』は、現在の名古屋市南区の桜台、桜本町あたりの歌が都に伝わって雅楽曲になり、平安時代に流行したとされている。『催馬楽 桜人』は、長らく廃絶歌だったが、昭和に入り復興され、現在では、名古屋市の無形文化財に指定されている。
普段なかなか正式な雅楽を見ることの少ないであろう我々にとって、雅楽の服装や伝統楽器による奏楽と神楽舞は大変興味深いものであったと思われる。まさに日本の伝統音楽に酔いしれたひと時であった。

その後、発足当初からお世話を頂いている別所良美人間文化研究所所長からのお祝いの言葉を頂いた後、森正名誉教授から乾杯のご発声を頂き、立食が始まった。日ごろサークル間同士の交流があまり多くはないため、会員皆さまの相互の交流、親睦には大変よい機会となったと思われる。
最後には、くじ引きによる全員の景品贈呈が行われて、河面祥三郎理事によるお開きの言葉により会は終焉した。

文責:「市民学びの会」代表理事 門池啓史