山田 敦教授「台湾と博覧会」

40回サイエンスカフェ 2011年4月17日(日)

テーマ: 「台湾と博覧会」

講 師: 山田 敦教授

八重桜満開の中、やまだあつし先生の「台湾と博覧会」を受講しました。

日本統治下時代に催された台湾の博覧会は時代の象徴でもあり、経済発展の模索と共に国民を啓発し、内外の日本人に統治成果を宣伝する施策であったことを知りました。
1900年代に開始された台湾の博覧会は、1935年の「始政40周年記念博覧会」が最後の最大規模となり、その様子を当時の新聞と鳥瞰図を用いて解説してくださいました。 本国と植民地を結び付ける絆にもなっていた博覧会でしたが、博覧会会場では40年間の統治による経済効果が強調され、また台湾教化がいかにして行われてきたかが示されていたようです。

面白く感じたことのひとつは、博覧会会場が公会堂や幹線道路を封鎖して作られ、水族館やコドモノクニなどを含む既存公園もそのまま会場として利用されたことでした。 予定時間いっぱいの質疑応答はかなり専門的な領域でなされ、改めて学問の奥深さに気付きました。

サイエンス・カフェやまだあつし

また講座企画をなさっている先生方の姿勢から、サイエンスカフェは講師の先生、受講生、参加者全員で学び合う教育の現場であり大学の姿を見る思いがして心も広がりました。 なお、会場であるサクラサイドテラスのお菓子は美味、コーヒーのお代わりもできて嬉しく感じました。

浅野才子(市民)

菅原 真准教授「ジェンダーの視点から考える民法の婚姻規定―世間の「常識」と憲法理念」

マンデーサロン 2011年3月14日(月)

テーマ: 「ジェンダーの視点から考える民法の婚姻規定―世間の「常識」と憲法理念」

講 師: 菅原 真准教授

本日のテーマは「ジェンダーの視点から考える民法の婚姻規定―世間の「常識」と憲法理念」であった。講師の菅原先生の話と、参加者の意見表明があった。

先生から参加学生に対する「あなたにとって最も大切なものは?」の質問から始まる。統計数理研究所「日本人の国民性調査」アンケートでは、この問いかけに対して圧倒的に多いのは「家族」であることが判明。ところがその家族の中での女性の位置は、過去および現在においてどのようなものであったか、またあるか。 第二次世界大戦が終わるまで、「家」維持をを目的とする旧民法下、女性は「三従」を強いられてきた。女性の一生は、まず親に、次いで夫に、老いては子に従うことが求められた。戦後、日本国憲法が制定され、24条によって不完全ながらも男女平等が実現した。それに伴う民法改正(1947年)によって両性の平等と理念とする法体制ができた。

しかし、現在も多くの課題が生じている。

その主なものは、①女性のみ再婚禁止期間があること、②夫婦別姓を望むカップルがいても法律上はそれができないこと、③婚外子の相続分に差があることである。 以上につき、説明があり、その後参加者からいくつかの意見表明(質問を含む)があった。主な意見表明(質問)を以下に記す。

(1)「男女平等」についての批判があるときくが、法律家としてどう考えるか。

(2)子どもは社会で育てるべきだと考えている。婚姻外の子についての差別があるが、それがなくなると家族関係の維持に問題が生じるというが、どう考えるべきか。

(3)憲法24条における「個人の尊厳と両性の平等」と13条の「すべて国民は、個人として尊重される」との関係は。

参加した私の感想―参加者全員がこの問題に深く関心を持っていることがわかった。問題が多岐にわたっているため、後の質疑応答の時間が不足したように思われる。

水野 清(同研究科研究員)

マンデーサロンイメージ

浜本篤史准教授「開発事業の記憶と地域活性化: 御母衣ダム質問紙調査の単純集計データ(速報値)報告」

マンデーサロン 2010年12月20日(月)

テーマ:「開発事業の記憶と地域活性化: 御母衣ダム質問紙調査の単純集計データ(速報値)報告」

講 師: 浜本篤史(人間文化研究科・准教授)および浜本研究室学生

コメンテーター:山田明(人間文化研究科・教授)

今回のマンデーサロンは、浜本篤史先生の担当回ということで、私たち学生2名も報告に参加させていただきました。マンデーサロン報告内容は、2010年11月~12月に岐阜県高山市荘川町、白川村の住民の方を対象で実施した「御母衣ダムの社会的影響と地域活性化」という質問紙調査の集計速報です。これは今年、建設50年を迎えた御母衣ダムについて、地元の地域社会にはどのような影響があったのか、またこれからの地域活性化に対して住民の方はどんな思いを持っていらっしゃるのか等を目的として、春から行ってきた調査の一環で実施したものです。

質疑応答の時間には、人社の先生方や調査でお世話になっている関係者の方々から、調査データの分析方法や今後の研究方法に対して貴重なご指摘をたくさんいただきました。研究室の中での活動ではみえなかった視点や発想を得ることができ、非常に有意義な時間になりました。

早水緑(同学部生)

岡村弘子名古屋市博物館学芸員「桃山文化と御殿の深~い関係」

マンデーサロン 2010年9月27日(月)

テーマ: 「桃山文化と御殿の深~い関係」

講 師: 岡村弘子名古屋市博物館学芸員

市立大のマンデーサロンに参加させていただいた。話題は「桃山文化と御殿の深~い関係」という市博学芸員 岡村弘子さんのお話であった岡村さんは25日から市博で開催中の企画展『桃山』を担当されてきた一人で、三年前から準備されてきたとのことであった。マンデーサロン

桃山というと伏見桃山城をだれもが思い浮かべるに違いない。障壁画や豪華絢爛な荘厳、調度品が思い浮かぶだろう。桃山の時代の資料が展覧されている由だが、今日の講演は城と御殿についてであった。(展示の目玉商品に信長画像、二条城障壁画があります。)

信長が築いた安土城から始まり、秀吉の聚楽第、大阪城、そして築城400年で喧しい名古屋城、二条城と具体的に城と御殿のスタイル、設計がどう変わってきたかを、図面や絵図を使って説明された。一般的というよりはかなりのところ専門的というか、けっしてポピュラーとは言えなかった。しかし、御殿建築の様式の変化を時間の経過を追う形で説明されたので聞いていればなるほどとは思える。それでも興味がない人には、難しい話だろう。(受け手を考えた工夫がいる。)

安土城の行幸御殿は発掘結果に照らしてみて殆どこれ以上面積をとるのが困難ではなかったかと、考古学の発掘が歴史の読み解きに大きな役割をしていることは面白い指摘だった。聚楽第の絵が瓦葺の城と桧皮葺の御殿を画き分けているのもなるほどと思った。主殿の上段の間の変化など、どういう理由か形(=間取り)が変化するのも政治の場所としての御殿を考える意味で興味あることだった。問題が投げかけられたが答えは出ていない。

名古屋開府400年がユルキャラや武将隊やらを動員して歴史の真実とは言えない話を広げているころで博物館の記念企画が際物になるのは厭だなと思っていたのですが、さすがに担当学芸員さんたちは科学的な態度で取り組んでくださっていることがわかり、困難の中に努力されていることを感じた次第です。

西浦芳郎氏(市民)

久保田健市准教授「青年の自立と家庭・地域の教育力」 

39回サイエンスカフェ 2010年9月19日(日)

テーマ:「青年の自立と家庭・地域の教育力」

講 師:久保田健市准教授

バブル期以後、日本の教育は問題解決能力・コミュニケーション能力に代表される新しい能力観を反映した改革圧力と、若者の凶悪化論に対応する形での公共心の育成を求める圧力にさらされている。そして、両者はともに地域や家庭での教育をよりいっそう重視する点で共通している。本講座は筆者が参加した本研究科の研究グループと名古屋市子ども青年局青少年自立支援室との共同調査で得たデータから、家庭・地域での教育的関わりと上記の教育的課題との関係を分析した結果を中心に展開された.

結果として、厳しいしつけよりも、親が子の相談にのるなどの関わりの方が公共心の高さと関係があること、わずかではあるがコミュニケーション能力の高さが学歴階層や収入階層と関係があることなどがわかった。おおむね講座は好評であったが、参加者が少なく、「もっと多くの人が受講すればいいのに。もったいない」との感想を頂けたのはありがたかった。

久保田健市(同研究科准教授)
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