平田雅己准教授「銃社会アメリカの現状と展望」

第30回 サイエンスカフェ 2009年11月15日(日)

テーマ: 「銃社会アメリカの現状と展望」

講 師: 平田雅己准教授

サイエンス・カフェ11月のサイエンスカフェでは、米国の政治学がご専門の平田雅己先生による講義が行われました。

全世界の銃のうち約4分の1が米国で所有されている事など現在の米国における銃の実態の紹介に続き、米国で広く銃が保有されている背景には、狩猟・射撃の愛好やコレクターの存在、入手しやすい正当防衛の手段として銃が認識されていること、憲法上の権利意識、政治的にも強い影響力を持つ全米ライフル協会(RNA)の存在など、文化・法律・国民の意識や政治的側面など様々な要因があるそうです。

資料として配布された、米国のテレビ局による、銃規制をどの程度厳しいものにすべきかについての世論調査の結果や、州によって異なる銃規制政策を示した地図などを用いたお話は、とても興味深いものでした。その後、2008年の大統領選挙で「個人の銃所有権を認める一方で、銃規制法の強化を支持する」立場をとったオバマ候補の選挙戦に銃器の問題がどのように関わったのか、現在の政権では銃規制よりも国民皆保険制度などの政策が優先度の高い政策と位置づけられていることもあり、2010年の中間選挙までは大きな政策の転換は見られないだろうという展望が示され、銃規制を強化していくためには、国民一人一人の意識を変えていくことが重要なのだということを学びました。

質疑応答では、質問者自身の見解や体験を交えた、考えさせられる質問が多く出され、さらに理解が深まったように感じます。約2時間、とても充実した時間を過ごせました。

田ノ室 芙美(同学部生)

飯島伸彦教授「テレビニュース番組の社会学」

第29回 サイエンスカフェ 2009年10月18日(日)

テーマ: 「テレビニュース番組の社会学」

講 師: 飯島伸彦教授

今回のサイエンスカフェは「現代ニュース番組の社会学」ということで報道・テレビ番組のニュースバリューの変遷をお話しいただき、私たち視聴者がメディアを送り出す情報を単に受容するのではなく、意図をもって構成されたものとして知識を持って接していかなければならないということを学んだ。

今回初めて参加して興味深かったことは、質疑応答の時間が1時間程度設けられ、自由な議論が活発になされていたことである。普段、同世代の学生の意見を聞くことは多いのだが、今回は市民公開講座ということで私とは違った世代の人々がどういった意見を持っているのかを知ることができた。議論の対象は日本のメディアが抱える問題多岐に及んだが、その中でもキャスター型のニュース番組については様々な意見が出された。情緒的なコメントがなされていることに対して、公正中立な報道こそがニュースであり事実とキャスターの意見を分けるべきだという意見。それに対して参加していた学生からは、テレビでニュースをみるよりもインターネットを使用して情報を得ることが多いが、キャスター型のニュース番組のように伝える側の主観が入るよりも自分でニュースバリューを判断できるありのままの出来事を伝えるものがほしい、という意見が出された。

世代を超えた意見を繋げていく場としてサイエンスカフェは重要な役割を果たしているのではないだろうか。

桒原 里佳(人文社会学部生)

成田徹男教授「問題な日本語―日本語の何が問題か」

第28回 サイエンスカフェ 2009年9月20日(日)

テーマ: 「問題な日本語―日本語の何が問題か」

講 師: 成田徹男教授

サイエンスカフェ9月20日、丸善にて人間文化研究所主催サイエンスカフェが行われました。この日は、言語学のご専門である成田徹男教授が、「問題な日本語――日本語の何が問題か――」と題され、現代の日本語の問題として、「ら抜きことば」や「敬語の変化」を中心に、ご講演くださいました。

「ら抜きことば」は、最近特に話題となっている「見れる」「来れる」といったことばで、「誤用ではなく、合理的な変化の進みであり、今後は「ら抜き」の形がふつうになるという説もある。」いうお話もあり、大変興味深く拝聴しました。

「敬語の変化」については、「方言の敬語が、消えつつあり、方言の敬語が共通語化している。」といった「方言の敬語の共通語化」や、「「おいしゅうございます」が消えつつあり、「おいしいです」がふつうになりつつある。」といった、「ていねい体の変化」をお話しくださいました。「消えつつある」ことばを、私たちはどのように継承していくのかを考えるきっかけを、与えてくださいました。

質疑応答において、「敬語の問題」、「ら抜きことばの使い分け」、「テレビにおけるニュースなどの字幕」など、参加者の方々が多数質問されました。皆さんが日頃から疑問を持っていらっしゃったことを、質問として投じられたようです。次から次へと質問がされるなか、時間があっという間に5時を回り、会の終了を大変名残惜しく思われました。

村田志保(同研究科博士後期課程)

阪井芳貴教授「あんやたん」写真展に寄せて ─ 報道写真に見る戦後おきなわ」

マンデーサロン 2009年9月14日(月)

テーマ:  「あんやたん」写真展に寄せて ─ 報道写真に見る戦後おきなわ」

講 師: 阪井芳貴教授

マンデーサロン写真展のパネルリストなど、豊富な資料を見ながら熱のこもった報告に耳を傾けた。参加者は23名であり、活発な質疑が行われた。翌日から開催される博物館での「あんやたん」写真展に案内する有意義なサロンとなった。以下は、報告者の阪井教授による事前案内である。

9月15日から、名古屋市博物館3階ギャラリーにて、沖縄タイムス社の所蔵する1945年から2008年までの報道写真から約200枚を展示する「あんやたん」写真展」を開催します。この3月から5月まで、横浜の新聞博物館で開かれて約1万人の見学者を集めた同名の展示会の縮小版ですが、その概説的な話になる予定です。沖縄戦終結後、本土から切り離されて独自の戦後を歩んだアメリカ世と、1972年の本土復帰後もさまざまな格差や変わらぬ基地負担に悩まされてきた新たなヤマト世を、時代を切り取り、またその時その時の課題を訴えてきた報道写真によって、一望することにより、ヤマト(本土)がいかに沖縄に無関心であったり貧弱な知識しか持ち合わせていないかを検証し、少しでも、沖縄の現実を理解する一助にしてみたいと思います。ちなみに「あんやたん」とは、「あのとき、あんなことがあったね」という意味のウチナーグチです。

山田 明 (同研究科教授)

山田 明教授「COP10と名古屋の観光まちづくり」

第27回 サイエンスカフェ 2009年8月16日(日)

テーマ:  「COP10と名古屋の観光まちづくり」

講 師: 山田 明教授

サイエンス・カフェお盆休みの開催で、どれだけ集まるか当日まで不安であった。猛暑のなか22 名の参加があり、内心ほっとした。 顔なじみも多く、いつもの調子で話ができた。

今回のテーマは「COP10 と名古屋の観光まちづくり」である。まず、名古屋の個性と魅力について、各種調査の 評価から話を始めた。いま話題の村上春樹さんらによる『地球のはぐれ方』の「魔都、名古屋に挑む」も紹介した。 あまり芳しくない評価が多いなか、魅力アップの戦略手段として、観光まちづくりを提案した。座長を務めた名古屋の観光推進を考える研究会の 成果から、節目の2010 年に向けCOP10 開催とからめ「都市型エコツーリズム」を提唱して、今後の課題を問題提起した。

1時間余り話して質疑に移った。最初から厳しい? 質問・意見が飛び出したが、示唆に富んだ意見や提案も多かった。広域的な視点、札幌など都市比較による名古屋論、名古屋の魅力や観光資源の再発見、魅力アップに向けたNPOや住民の役割 など、名古屋の観光推進を考えるうえで参考になった。

嬉しかったのは、参加者から後日お礼のハガキが届いたことである。そこにも名古屋のまちづくりについての提案が書かれていた。ただ残念だったのは、環境と観光とまち づくりの連携、「都市型エコツーリズム」について、あまり反響がなかったことだ。10月の市民公開講座や観光の講義に向け、説得力を高めるために?努力していきたい。

山田 明(同研究科教授)

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