宮田学教授「日本人英語に見られる誤りーその傾向と対策」

第57回サイエンスカフェ 2013年2月16日(土)

講師:宮田 学教授

テーマ:「日本人英語に見られる誤りーその傾向と対策」

「タイトルが良かったのでしょうか、こんなに多くの皆様にお集まりいただき有り難うございました」とご挨拶されて宮田学先生の講演が始まりました。会場は満席、事務局は溢れた方々のため二回目の講演も用意されたようです。英語教育の第一人者として知られる宮田先生のユーモアと流暢な英語による実例を交えた解説に、参加者は目から鱗の連続で、まさに感動の2時間でした。市民の皆様にこのような機会を提供出来ましたことを誇りに思います。

戸苅 創(名古屋市立大学学長)

サイエンスカフェ

土屋勝彦教授・田中敬子教授・山本明代教授「世界文学におけるオムニフォンの諸相」

マンデーサロン 2013年1月29日(月)

講師: 土屋勝彦教授・田中敬子教授・山本明代教授

テーマ: 研究プロジェクト報告会(1) 「―シンポジウム「世界文学におけるオムニフォンの諸相」について」

オムニフォンとは、「あらゆる言葉が同時に響き渡る言語空間」において、言語的コミュニケーションの中枢となる規範言語に抗い、少数言語に隠された文学的機能をすくいあげるという意味がある。質疑では、少数言語が母語を超える「揺らぎ」の可能性についての議論が主なトピックとなった。方言や土着の言葉で書かれた芸術作品に触れた際、一種のノスタルジアを感じたり、その異質性からエキゾチシズムを掻き立てられたりといった経験は、誰しもあるだろう。それが一種の「揺らぎ」であり、社会化の過程で失った、言語を介さないコミュニケーションに基づく世界との一体感への、母体回帰のような感情へ結びつく。

「少数言語」は、あらゆる感情を伝える可能性を秘めた文節不可能なツールとしての「声」と、文法、発話、理性的構成などのルールを無視すれば即、理解不可能に陥るもろさをひめた「規範」との、いわば中間の領域にある。失われつつあるマイノリティとシンクロしようとする文学的試みは、現在の「われわれ」を形作る源となった「根源」を遡上し、「いま」を知る可能性へと繋がる。それは「退行」ではなく、新たなアイデンティティのあり方を見つける可能性へ向かって開かれているといえよう。

山尾 涼(同研究科研究員)

マンデーサロン

野中壽子教授「幼児期の運動機能の発達と遊び」

56回サイエンスカフェ 2012年12月15日(土)

講師: 野中壽子教授

テーマ: 「幼児期の運動機能の発達と遊び」

1児の母として、野中先生のお話を聞きに伺いました。サイエンスカフェ

お話は発達段階の説明から、具体的な運動の実践方法まで多岐にわたり、大変興味深い内容でした。

文科省は3才~6才の子どもに、毎日60分以上楽しく体を動かすことを推奨しているそうです。毎日60分!と思いますが、外遊びや、掃除のお手伝いといった日常的な生活の中に、楽しく体を動かすコツがあるとのこと。特別な道具を用いなくても、例えば1つのタオルで瞬時につかむ遊びや飛び越え遊びなど様々な楽しい遊びがあることを見せていただきました。

サイエンスカフェ

また、幼児期に習得させたい36の基本的な動きの説明がありました。なにげないボール遊び1つをとっても、空間認知能力を育む重要な遊びとのこと。物を受けたり的に当てたり、空中にあるものの動きにあわせて自分の位置をかえることで、空間を認知していくそうです。その他、さまざまなことをグラフや映像などを使って説明していただき、もっともっとお話が聞きたいと思いつつ、あっという間に時間が終わりました。

子どもにどうやって、運動をさせたら良いのか・・・と思っていた私には、大いにヒントになる刺激的な内容でした。

生田 京子

エリック・ロフグレン氏「現在の留学のあり方~これでいいのか~」

マンデーサロン 2012年12月17日(月)

講師: エリック・ロフグレン氏
(バックネル大学教授、Associated Kyoto Program, Resident Director)

テーマ:「現在の留学のあり方~これでいいのか~」

まず、最初に誰もが驚いたことはロフグレン氏のあまりにも流ちょうな日本語であろう。なぜ、それほど日本語がうまくなったのかという疑問を持ちながらお話を聞いていくと、彼の日本での留学生活が要因であることがわかった。マンデーサロン

ロフグレン氏は「留学とは何か」という問いの答えは、期間や年齢にかかわらず、異文化の中に入り込んで、勇気を出して失敗をおそれないで、異文化社会の人々と接することで、十分にコミュニケーションができない「不安感」を乗り越えようと努力する体験が留学であると語った。このような30年前の彼の留学体験によって、彼は日本文化を「学んだ」以上に「身につけた」。

次に「現代の留学の問題は何か」に対しては、若者が留学先で感じる「不安感」を自分一人で乗り越えようとしないことであると言う。現代の留学生はどこに行ってもインターネットの母国語に逃げることができるので、言葉が通じない「不安感」を乗り越えようとする苦しい体験をしようとしないからである。今後は、留学による直接体験がインターネットの魅力より大きいこと、そして、インターネットのつながりよりおもしろいと思わせる留学の何かがあることを知らせることが必要であると提言された。

今回、私は根本的な「留学とは何か」ということについて考える必要性を知った。そして、留学は年齢も期間も関係なく誰でもその文化に飛び込む勇気と、文化を身につけたいと思う意欲があることが重要であると知って、若者だけでなく、熟年者も留学できるのだ!と「期待感」を持てたことはうれしいことだった。

マンデーサロン

伊藤 泰子(同研究科研究員)

ブライアン・リーさん「香港の教育―輔導(ガイダンス・カウンセリング)の発展の過程」

マンデーサロン 2012年11月5日(月)

講師: ブライアン・リーさん(香港特別行政区政府教育局訓導和輔導組督導)

テーマ:「香港の教育―輔導(ガイダンス・カウンセリング)の発展の過程」

マンデーサロン私が香港オタクになったきっかけは、高校不登校の引きこもり中に偶然見た一本の香港映画である。その後、香港の大衆文化研究で修士号を取得し、香港中文大学に留学。映画誌への執筆、カルチャーセンター講師もつとめた。今や香港人の身内がいることもあり、「香港」の二文字に相変わらず敏感である。ちょうど、今回のテーマの関連文献といえる『公教育と子どもの生活をつなぐ香港・台湾の教育改革』(山田美香著、風媒社)を拝読中だったこともあり、家族全員で出席させていただいた。

我ら港日家族にとって香港の教育現場の問題はどれも当事者となりうる問題で、特にいじめ問題は興味深い。寝屋川市中学生いじめを題材にした演劇が教材として用いられているとのことだったが、香港では日本と異なり、クラスで集団的に1人をいじめるといったことは起こり得ないと聞いている。力の強い子どもが弱い子を個人的にいじめ、傍観者はあくまでも傍観に徹するという香港型いじめの具体的事例もドラマ映像などで拝見してみたかった。

個人的に関心を持ち、正に情報収集中である「香港の義務教育の場における広汎性発達障碍児への支援」についても、質疑応答で通訳の山田先生に助けていただき、李先生から丁寧な解説をいただいたうえ、教育現場でいじめ防止をアピールする缶バッジまでお土産にいただき、とてもよい記念になった。

井藤知美(フリーライター)
マンデーサロン
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